介護の仕事をしているとクリスマスがせつない。
年末年始がせつない、というべきか。
世間がとてもにぎやかで、テレビの中には愛が溢れているのに、多くの利用者さんは一人ぼっちだからだ。
ある利用者さんから
「お茶を飲んでいってくれませんか」
と言われた。
ヘルパーは何ひとつごちそうになってはいけない規則だから断らなくちゃいけない・・・のだけれど。
「昔はクリスマスといえば子供と妻とみんなでケーキを食べたものでした。でも2人ともいなくなってしまった。今では毎日、一人で食事してるんです。朝も昼も晩も一人。テレビをかけて。しゃべることなく。クリスマスも正月もありません。このまま一人で死んでいくのかなあって考えます。あなたとも年が明けるまでしばらく会えないわけだから、せめて今日くらいはお茶を飲んでいってくださいませんか」
光が強ければ強いほど、暗い影がおちる。
クリスマスがやってくるたび、ヘルパーとしての私はその暗い影に包まれてしまう。
・・・だが家に帰ればケーキが待ってる!
オーストラリアの妹一家とLINEでつないで、リモート・クリスマスパーティ。
ビデオ通話なので、オヤジがケーキを切るのに失敗してぐちゃぐちゃに潰したところも、潰れたケーキを母の皿に取り分けるところも、自分のを食べ終わったオヤジが母のケーキに手を出すところも、ぜんぶ見られてた。
「おじーちゃん!」
「ひどーい!」
「めっちゃ盗ってる!」
そして最後はにぎやかに姪っ子と甥っ子の兄弟ゲンカで幕を閉じた・・・リモートじゃなかったら慰めてあげられるのにな、と思いながら。
にぎやかで、楽しくて、やっぱりちょっとせつない。
今年はそういうクリスマスだ。
とある利用者さんと
「私は病気でほとんど食べられないんだけど、あなたは元気でなんでも食べられるでしょ。今日はクリスマスだから、ケーキもごちそうも、たくさん食べてきてね。私のぶんまで、たくさん食べてきてね。約束よ」
そう約束したから、今年はたくさん食べましたー!
コメント
〉規則だから断らなくちゃいけない・・・のだけれど。
ありがとう〜。うちのお父さんに
ほっこり幸せなひとときを!
奥様に成り代わりお礼
言っちゃいます。^_^
ありがとうございます。
厳密には規則違反なんですけどねー
お茶の一杯くらいは人間として許される範囲かと。
Merry Christmas
いつものケーキ屋さんは
あのお菓子の国の
エス○ヤマかしら?
美味しくいただいてくださいね。
エスコヤマは混んでるので地元民は近寄れません(笑)
近所の小さくてかわいいケーキ屋さんです。
おいしかったです!