今年のユニクロのCMを見ると、泣きたくなる。
すごく寂しい悲しい気持ちになってしまう。
CMのタイトルは「去年とは違う冬」だ。
冬が来る。去年とは違う冬。
それがどうした。
ふれあいを、ぬくもりを手放すな。
ほら、幸せはいつもそばにある。
(UNIQLOより)
映しだされるのは愛情いっぱいの光景。
触れ合う恋人たち、たわむれる親子、仲良さそうな夫婦、飼い主と猫・・・。
だけど思うんだ。
「ふれあえない」のが今年の冬じゃないか?
人との接触を手放すべきなのがコロナ対策じゃないか?
恋人がいる人はいい。
家族や猫といっしょに暮らしている人はいい。
だけどそんな「幸せがそばにある」人たちばっかりじゃない。
介護の仕事をしていると、この国には孤独があふれていることを痛感する。
一人暮らし高齢者、と呼ばれる人たち。
望んでそうなったわけじゃない。
「孤独死したくなくなかったら結婚しろ」
などとアホなことを言う輩がいまだにいるらしいが!
結婚したって連れ合いは先に逝かれる。
子供がいたって独立する。
結局、一人になるんだ。
想像してほしい。
デイサービスの職員に
「さよなら、また来週ね!」
と笑顔で手を振っているおばちゃんを。
その笑顔がふっと消えて、おばあちゃんは一人で家に帰っていく・・・真っ暗な部屋に。
誰もいない、冷え切った部屋に。
時計の針の音しか聞こえない。
ガランとした部屋。
電気をつけて暖房をつけてもガランとした空間が埋まるわけじゃない。
静けさに耐えきれずテレビをつける。
一人ぼっちで夕ご飯を食べる。
ごはんも冷えているが、面倒だから温める気にもなれない。
ご飯を食べながら、昼間のことを思い返す。
デイのランチはおいしかったなあ。
隣の人と笑いあったなあ。
みんなでどんな歌を歌って、どんなおしゃべりをしたか、心のなかで反芻する。
そうするとちょっと嬉しくなる。
でもカレンダーを見つめて、明日は土曜だからデイはないな、と思い出す。
ヘルパーさんが来るのはいつかなあ、とも考える。
次に誰かに会えるのはいつだろう・・・。
子供も孫もいるけれど、遠方だし、忙しいからそんなに会えない。
しかも今年はコロナだ。
年末年始だってどうなるか・・・。
このおばあちゃんがテレビをつけて、あのユニクロのCMを見たら、どんな気分になるだろう。
「ぬくもりを手放すな、幸せはいつもそばにある」
この言葉に私はいつも泣きたくなる。だってこのおばあちゃんは、真っ暗な家で、たった一人で倒れているところを発見されたのだから。
孤独なおばあちゃんが、おじいちゃんが、日本中には無数にいる。
介護保険でできることは限られてるけど。
ヘルパーも毎日は行けないけど。
けど・・・せめて、抱きしめてあげることができたら!
それさえできないのが今年の冬だ。
コロナの冬だ。
去年とは違う冬。
家族の皆様には、遠方のご両親にいつもよりたくさん電話をかけてあげてくださいとお願いしたいです。
コメント
続けての、コメントですみません。
だださんの、ブログ、読んでて涙が出てきました。
私の周りにもよく聞かれる話です。いろんな方の顔が浮かびました。
「そういう生き方を選んだんだから。」「女で一つで育てたのに若い頃の嫁いびりは、後で仕返しされる。」「最後の時間も知らせてもらえない娘。」
人様の家庭のことだから、あえて深入りはできませんが、やっぱりつらいです。寄り添って欲しい。他人じゃ駄目なんです。
偉そうなことを書きましたが、私の兄、姉は、未だに母を許しておらず、老後の蓄えは、全て借金返済に援助しましたが、父の葬儀以外、母が寝たきりになった20年間帰ってきません。
まあこれは、母が甘やかして育てたからですけど。
できそこない。。。。小さな頃からそう呼ばれて来た私ですが、介護を通して、母と仲良しですよ。
お疲れ様です。
さくらさんも、いろいろあったのですね。
ほんとうに家族それぞれにいろいろな事情がありますよね。
たしかに嫁イビリをした因果応報の人も多いと思います。
子供は育てたように育つわけですし。
ただ、ご家族に死なれて一人ぼっちになってしまう方も、とても多いです。
家族仲がよくても子供さんが飛行機の距離だとそうそう会えませんし。
どうしても夜は孤独なんですよね。
離れている家族はついつい
「まだ大丈夫」
と思いがちですが、身体が大丈夫でも、痛いほどの孤独を訴えられる利用者さんは多いです。