鬼滅の刃ｖｓ半側空間無視

母は干支はイノシシだ。
昔からよく自分自身のことを
「猪突猛進！」
と言っていた。
それは今でも変わらずで、いつでも前しか見ていない。
「昔は良かった」なんて口が裂けても言わないし、懐メロも聞かない。
毎日ワイドショーを見て最新のドラマを見て、新しい映画や娯楽の情報も集めている。

そんな新しいもの好きの母が、ふいに
「マンガが読みたい」
と言い出した。
・・・マンガ？
たしかに母は本の虫だけど、マンガは読めないはずだ。
半側空間無視があるからだ。
前に挑戦したことがあったけど、どうしても見えないセリフやコマがあってぜんぜん理解できなかった。

でも
「読めるもん！どうしても読みたいの！」
母は譲らない。
「昔は『あしたのジョー』も全巻読んだんだから読めるよ！」
そ、そうなの？
じゃあ何か読みたいマンガはある？
母は即答した。
「『鬼滅の刃』！」
えええ・・・なんで鬼滅・・・。
「ものすごく流行ってるんでしょう、テレビでやってた！」
うん流行ってる、流行ってるけど、すでに完結しちゃってるあたりが70代の限界であろう。

コミックは無理に決まってるから電子書籍のサンプルをダウンロードして読んでもらう。

読めてる？
「読めてるよ！」
とか言ってるけど、やっぱり左のほうのコマはぜんぶ飛ばしているようだ。
おもしろい？
「よくわかんない！戦ってばっかりで」
ばっかりって、まだ始まったばっかりだよ？ 炭治郎さんオノ投げてるよ？

結局、途中で挫折した。まあ、そうなると思ってたけど。
母は
「最近のマンガは読むとこがいっぱいあって分かりにくい」
とか言い訳していた。
はい、残念でした。

わいわいやってたとき、女優の竹内結子さんの訃報が流れてきた。
三浦春馬くんに引き続きとてもショックだった。
『コンフィデンスマンjp』がとても良かったから。
『ストロベリーナイト』も好きだった。
このところ自殺の報道が続く。
コロナのせいもあって、多くの人が生きにくい世の中なのかなと思う。
どんなに才能に恵まれて幸せそうに見えても、心の中は誰にもわからない。
どんなに楽しそうに笑っていても、内に秘めた悲しみは誰にも気づかれない。
人がどんな悩みを抱えているか苦しんでいるかなんて外からはわからないのだろう。

いろいろ考えてたら友達に会いたくなってしまった。
・・・まだ会えないねんけどなー！