面会禁止のせつなさ

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母の入院時に着替えやコップなどいろいろ持っていったが、ぜんぶは運べなかった。車椅子を押しつつ大荷物を持つのは難しいからだ。

PCR検査で陰性がはっきりするまで待ち、今日ようやく残りの荷物を運びこむことができた。
オムツとかお尻ふきとかだ。
中に手紙も入れておいた。
私と孫たちからの手紙。
コロナのせいで面会は禁止だ。
母は携帯も使えない。
寂しがっているだろうから、せめて手紙や写真があれば慰めになるだろう。
ナースステーションで名前をいうと、看護師さんが2つ返事で病室に持っていってくれた。

荷物をかかえた看護師さんがすぐそこの病室へ入っていく。
ナースステーションのそば。
・・・この部屋なのか。
ドアが開け放たれている。
入り口近くのベッドらしい。
看護師さんがカーテンを少し開けて声をかけるのが見える。
でも聞こえない。
母はなんと答えたのだろうか。
母はどうしているのだろうか。
どんな顔をしているのだろうか。
・・・すぐ、そこにいるのに。

「寝ておられました」
部屋から出てきた看護師さんが微笑みながら教えてくれた。
容態は安定しているらしい。
せん妄も出ていないそうだ。
2週間で退院できると聞いている。
あと10日ほどか。
退屈だろうな。
いろいろ心配だけどどうしようもない。
次は、新しい本を持っていってやろう。

いっしょにゲームする?

母がいないとシシィさんも退屈そう。
ずーっと私から離れません。

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