毎日ご飯を作らなくちゃいけない悲劇

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「年をとって生きていくのは本当に大変なのよ」
とある高齢の奥様が言った。
「だってどんなに年をとっても、毎日ご飯の用意をしなくちゃいけないんだから!」
高齢者が台所に立つのは大変なことだ。
痛む脚や曲がった腰をかかえて料理をつくる。
火から目を離せないし、鍋も洗わなくちゃいけない。
料理ができたら皿を運ばなくちゃいけない。
少々体調がわるくてもご飯を食べないわけにはいかない。

だったらスーパーのお惣菜でいいじゃない!
冷凍食品でもいい。
宅配のお弁当だってある。
今の世の中はとっても便利になった。
でも・・・

「主人がダメだって言うのよ!」

スーパーの惣菜も冷凍も宅配弁当も、ご主人が許さない。
「こんなもん食えるか!ちゃんと作れ!」
手作りのあたたかい料理じゃないと許さない。
わりとよくあるケースなのだ。

こういうケースは、奥さんが料理上手だったりお金持ちでいいモノばかり食べてきた人に多い気がする。口が肥えているから安物に耐えられなかったり、プライドが許さなかったりするのだろう。そして奥さんに頼りきっている男性は、母親に甘える子供と同じように、愛する人が年老いてしまったのだという現実を認めることができない。

「主人は昔の人間だからねえ・・・」
と奥さんはため息をつく。
昔ながらの亭主関白は短命の時代だったからこそ許されたのだと思う。

「長生きなんていいことないわ。このトシになっても毎日ご飯を作らなくちゃいけないなんて、悲劇よ」
奥さんは深いため息をついた。
今日は敬老の日。

本日の猫写真は、デイサービスで働くミー先輩。
デイの縁側で日向ぼっこするのもミー先輩の仕事なのです。
先輩、お疲れさまです!

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