朝ドラの効能

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高校生の頃、私は「朝ドラなんで誰が見るのだろう」と思っていた。あんなの見る暇なんてないよ。朝8時や午後1時(再放送)にのんびりテレビを見ていられる人なんて、よっぽど暇なんだと思ってた。

ところが案外、そうでもなかった。

5年前に母が倒れると、私は寝る暇もない日々がつづいた。深夜まで仕事をして、帰宅してから家事とリフォーム準備、日が昇れば母と妹のことで駆けずり回る日々。1日20時間以上ずーっと動いてるか考えてるかで休む暇がぜんぜんない。しまいに高熱をだしてぶっ倒れて
「これはアカン」
と思った。

これはアカン。休まなアカン。
でも休んでる暇などない。
・・・困ったな。

悩んでいるときちょうど朝ドラが始まった。
朝の連続テレビ小説。
放送時間は15分。
ちょうどいい。
15分間だけ休むようにしよう。
朝ドラをやってる15分間だけ、テレビの前に座って何も考えずにボーッとしよう。そう決めた。

2012年2月のことでたしか『純と愛』だったと思う。悪いけど本当ボーッとしていたからまったく記憶に残っていない。その15分間だけは、電話もメールも書類もなしで、過去も未来もなんにも考えず、ただテレビだけを見て頭を休めていたのだ。おかげでそれ以降はあまり倒れずにすんだように思う。

その次に放送されたのが『あまちゃん』。これはむちゃくちゃハマった。朝ドラってこんなにおもしろかったんだ!とびっくりした。15分間ボーッとするどころかテレビにかぶりついて見ていたし、昼の再放送も病院の母とよく見たものだ。

その後、退院してきた母は、毎朝なかなか起きられずに困った。目覚ましくらいではちっとも起きない。だが毎朝8時に朝ドラが始まり、音楽が流れると、
「朝の音楽だ!」
と目を覚ますようになった。放送が終わるまでに身支度を整えるのが目標になった。
『あさが来た』のディーン・フジオカはお気に入りで
「五代様!」
と俳優さんの顔を病後初めて覚えたりした。

2014年の『花子とアン』は大きな転機をくれた。

主人公は小説『赤毛のアン』の翻訳者だ。母はこのドラマを見て『赤毛のアン』が大好きだったことを思い出した。
「久しぶりにアンが読みたい!」
ちょうど文字を読む練習をしていた母に『赤毛のアン』を読んでもらうと・・・奇跡が起こった。大好きなアンの物語を読もうと母は必死に脳みそを動かし、それにより高次脳機能障害はどんどん回復していったのだ。

その後も母は毎日欠かさず朝ドラを見ている。母は見たことさえも忘れるし、ストーリーなど全然わかっちゃいないけれど、それでも毎朝ちゃんと見る。
「朝ドラを見ると落ち着くね」
と言って。

かつては「朝ドラなんて誰が見るんだろう」とか思ってた私も今ではすっかり
「朝ドラが始まったからちょっと座ろう」
と休憩をとる習慣ができた。

在宅介護は一番くつろげる(はず)の家の中で行われる仕事だ。夜寝ていても、朝眠くても、体調がわるくても休めない仕事だ。そして絶対に楽しい未来は待っていないのが仕事だ。のほほんとしている私だってストレスが無いとは言わない。

だからこそ休む時間が必要だ。強制的に頭と体と心を休める時間が必要だ。ストーリーが単純で、のんきにぼんやり見ていられる朝ドラは、そんな休憩時間を与えてくれる。ちなみに今の『まんぷく』はドリカムの歌がとても好きです。あと親ばかキャラの要潤。

本日の猫写真。

さっきサンジにグーグルレンズを向けてみたら

なんかごっつい良さげな猫であることが確認されました。

うちの子・・・ただのトラ・・・。

コメント

  1. こんばんは~♪

    朝ドラってそうですよね。
    誰がこんな忙しい時間にって。

    でも、再放送とか見ると、意外と名作が多い♬

    • 一般的な社会生活を送っていると絶対に見られない時間帯ですよね(笑)
      でもこれだけ朝ドラみてる人が多いということは、生活スタイルも人それぞれということなのでしょう。
      じっくり見る暇さえあれば良いものですよ。

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