沈黙の会話

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先日、妹・U子の誕生日だった。
施設入所中の妹だ。
コロナのせいで長いこと顔を見ることができないでいる。
せめてプレゼントくらいは贈ろうと、母が服などを買い、施設に郵送した。

そうしたら、施設から電話がかかってきた。
最初は職員さんが話してたんだけど、
「U子さんに代わりますね」
と話させてくれた。

電話をもらったことはとっても嬉しいし、ありがたいんだけど・・・。
私や母なら適当にしゃべってあげられるんだけど。
運の悪いことに、そのとき私も母もいなかった。
だって平日の昼間なんだもん。
ふつうに仕事してるよ。
だから電話をとったのは、本当に運の悪いことに、オヤジだったのだ。
オヤジに、電話でしゃべったの?
と聞いたら
「いや・・・」
首をかしげている。
「電話に、は、な、出たんやけど・・・」

オヤジはヤバいくらい口下手である。
娘から電話をもらっても、何を言えばいいか全然わらかない。
言葉がでてこない。
たった一言、
「ゆ、U子・・・」
と名前を呼ぶのが精一杯だったそうだ。
U子はU子で重度障害があるもんだから、ほとんど話せない。
きっとニコニコ笑ってるんだろうけど、受話器越しに聞こえてくるのはフーフーと荒い鼻息だけである。

こんな2人が電話でおしゃべりなんてできるわけがない。
見てないけれど容易に想像できる。

オヤジ「ゆ、U子・・・・」
U子 「・・・・(鼻息フーフー)」
オヤジ「・・・・」
U子 「・・・・」
オヤジ「・・・U子・・・」
U子 「・・・・(鼻息フーフー)
オヤジ「・・・・」
U子 「・・・・」

気まずいような、おかしいような、せつないような沈黙が流れていたはずだ。
でも、気まずいような、おかしいような、せつないような沈黙の会話の中には、実は

「元気でいるか」
「パパは元気そうでよかった」
「いい子にしてるのか」
「パパに会いたい」
「早く会えるといいな」

言葉にならない親子の会話が存在していて、言葉にならなくてもそれなりに伝わっているんじゃないかと思う。

本日の猫写真。

昨日から急に具合が悪くなっちゃったサンジ。
点滴をしてもらったおかげで少しはゴハンが食べられるようになった。
ほんの少しだけど、でもゼロじゃない。
明日も点滴だ。
頑張ろうな、サンジ。

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