長かった梅雨がいよいよ明けようとしている。
この季節の空は不安定だ。
今朝は青空が見えていた。
なのに昼頃、曇が湧いてきた。
夕方にはパラパラと雨がこぼれ始めた。
利用者さんたちがデイサービスの送迎車に乗り込んだときは、まだ、パラパラ雨だったのだ。
「あら、嫌ねえ」
とか言っていた。
1人めの利用者さんを送り届けた頃、本格的に降りはじめた。
2人めの利用者さんのお家に着いたときには、もはや土砂降りだった。
3人めの利用者さんがお家に入ったのを確認したとき、ピカッ! 空が光った。
「雷キターーーー!」
私は雷がキライである。
虫の次にキライである。
若い頃、雷がバンバン落ちてくるゴルフ場で働いていたことを思い出すからだ。
稲妻は地上に落ちると金色の蛇となり、人間を追いかけて走る。
私はいつか雷につかまって死ぬんじゃないかと思ってしまう。
なので最後の利用者さんのお家にたどり着いたときも、なかなか車を降りられなかった。
雷が光まくり鳴りまくっていたからだ。
「Sさん、私、雷がコワイんです」
正直に白状した。
すると
「あの、私も、コワイんです」
Sさんも言った。
それで2人で手を握り合ってキャアキャア叫びながら車の中でじっとしていた。
雷が遠ざかるまでしばらく待ち、なんとか車を降りて、互いを抱えるようにしてSさんのお家まで走った。
傘は持ってたけど利用者さん用なので私は上から下までびしょぬれになった。
ずぶぬれのまま家に帰ると
「汚いニャー!」
猫たちに叱られた。
オヤジによれば、猫たちも雷に怯えて大変だったらしい。