めんどくさかったこと

「もうダメだ。いいかげん、ダメだ」
オヤジの頭が限界を迎えた・・・いや、認知症的な意味じゃなくて。
髪の毛のことだ。

オヤジの唯一の美点はふさふさの髪だ。赤ちゃんみたいな天然パーマで、毎月きちんとカットしなくちゃいけないのに、コロナ自粛のせいで床屋にも行けてない。最後に行ったのが２月だから、もう３か月か。

３ヶ月間、天然パーマが伸び放題のオヤジの頭は、ふさふさがモサモサになり、アフロ一歩手前というところ。しかもヒゲまで伸びている。

「もう、アカン！　見苦しくて耐えられへん！」
耐えきれなくなって床屋につれて行ったら、馴染みの床屋さんがコロナのせいで潰れていた。仕方がないので隣町の理髪店まで連れて行った。めんどうくさかった。ちくしょー、コロナめ！

母は母で
「読む本がなくなったー！」
と騒ぎはじめた。
「新しい本が読みたーい！」
こちらももう限界である。図書館につれていく。

図書館もまだ中に入ることはできないが、移動図書館で少しだけ借りることができた。本はもちろん消毒して・・・なかなか、いろいろ、めんどくさいねえ。

近頃、シシィがしょっちゅう首輪をはずしてしまう。首輪がイヤなわけじゃない。はずすした首輪を私のところに持ってきて、つけ直させるのだ。きっと何かを言いたいのだろうと思う。遊んでほしいのかな？

その首輪はちょうど古くなってきたところだったので、ためしに新しいものを買ってきたら・・・シシィの目の色がかわった！
「そう！ それ！ それが欲しかったの！」
というようにニャーニャー鳴いて、首を差し出してくる。
「早くつけて！」
と言わんばかり。
新しい首輪にしてからは一度もはずさないし、それどころか
「可愛いでしょ！ほら、ナデナデしてもいいのよ？」
と首元を見せつけてくれる。シシィがこんなにオシャレだとは知らなかったのでびっくりした。飼い主に似てないというか・・・ああ、めんどくさー。