訪問ヘルパーのコロナ対策

新型コロナウィルスの広まりを受けて、自宅で仕事をする人が増えているらしい。そんなニュースを見ていると利用者さんに言われた。
「あなたも在宅勤務とかするの？」
・・・いやいやいや。訪問ヘルパーが在宅勤務したら、それはただのお休みですやん。
「それもそうねえ」
利用者さんはのんきに笑った。

笑い事ではない。
基礎疾患をもつ高齢者と室内で濃厚接触するのが仕事だから、ヘルパーはみんな必死である。
玄関ドアをあけて最初に口にするのは、利用者さんの体調をきづかう言葉ではなく
「手を洗わせてくださいね。水道をお借りします」
いらんとこ触る前にまず手洗いだー！

利用者さんによっては、ハンドソープはもちろん貴重なマスクや消毒液まで用意してくださる方もある。
が、そう簡単にはいかないお宅も多い。
「ここで手を洗うのはいかがなものか？」
と戸惑うくらい汚れている水道とか。
水が出ない洗面所とか。
唯一水のでる台所が絶賛使用中とか。
石鹸だって、あったりなかったりだから除菌シートとともに持ち込みである。

マスクは必須だが、マスクしてると顔が見えないため
「はじめまして」
と言われ入浴拒否されたりする。
「『いつもの人』に入れてもらうから今日はやめとくわ」
いや、私が『いつもの人』ですから！
それにしてもマスクつけたままの入浴介助ってどうなの・・・。
びちょびちょのマスクで窒息しそうになるのは私だけ？

ついでに、食事前に必ずにらめっこをする利用者さんがいるんだけど（口腔体操の一貫）、マスクしてたら、にらめっこができない！
「笑ったら負けよ、あっぷっぷー」
とかいうても、マスクじゃ笑いをとれない！ 負ける！ 悔しい！

それから、換気。
寒がりな利用者さんはなかなか窓を開けさせてくれないものだが、
「コロナ対策には換気が大事、ってニュースでやってました」
とかいって強引に開けちゃうよ！
で、サッシが歪んでいるのか閉まらなくなって、帰り際にあたふたしたりする。
「寒いがな！」
と利用者さんに怒られたりもする。
悪いのは私じゃありません、コロナウィルスです！（いや私だ）

猫はペロペロですむから楽ちんです

手を洗って洗って洗って、石鹸に負けて血だらけになってもまだ洗って、消毒液がしみて悲鳴をあげて、でもまた次のお宅でもぐいぐい洗って、仕事が終わってからハンドクリームをつけて。
マスクに負けて顔が腫れ、作ってもらったガーゼマスクに救われながら、今日も明日もがんばります！

・・・あ、明日は休みやったわ！