笑ったもん勝ち

母は笑い上戸である。
どうでもいいことで、しょっちゅう笑う。

猫が変な顔をしているといって笑い、
昼ごはんを食べたことを忘れてしまったといって笑い、
私が走りまわっているのを見て笑い、
私が足をぶつけたらまた笑う。
「あんた、ほんとに鈍くさいねー！」
・・・・ちょっと笑いすぎ。

今日もゲラゲラ笑いころげているから理由をきいたら
「テレビの字幕で『〇〇の事務所』って書いてあったのを、私、読み間違えちゃって！」
なんて読み間違えたの？
「『〇〇の刑務所』！ おかしいでしょ！」
いや～・・・ぜんぜん、おかしくない。
わからない。
一体、何がおかしいの？
「わっかんないけど、おかしいの！！！」
母はもう涙を流して爆笑している。
あんまり楽しそうに笑うもんだから、私もつられて笑ってしまった。
「わからんけど、おかしいねえ」
「おかしいねえ」
ハハハハ、ガハハハ、２人でバカみたいに笑ってた。
笑うとなんだか、スッキリした。

「とりあえずなんでも笑って楽しんどけばいいのよ」
と、昔から母は言っていた。
困ったときも。
しんどいときも。
不安なときも。
「泣いてスッキリするっていう人も多いけど、私の場合は笑ってるほうが道が拓けるの」
と言う母だった。
今でもちっとも変わらない。
退屈なときも。
楽しいことが見つからないときも。
テレビの内容がわからないときも。
昼ごはん食べたのを忘れちゃったときも。
毎日を、笑って笑って笑いとばして。
これからも、そうやって暮らしていこう。