“ふつう”の思い出

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近所のドラッグストアにこんなポスターが貼ってある。

“ふつう”は、ずっとつづく。

だがポスターの言葉をあざ笑うかのように、トイレットペーパーの棚が空っぽになっており、マスクは一ヶ月くらい売り切れのまま。今はふつうじゃないのかな。・・・そんなことを考えてしまった。「ふつう」って何だろう。

訪問介護のおばあちゃんがこんな話をしてくれた。

「今のうちに、たくさん思い出をつくりなさい。思い返して楽しくなるような思い出を。
年をとるとね、できることが減ってくるでしょ。体もしんどいし。ぼーっと座ってることが多くなる。そうするとね、いろんなことを思い出すものよ。あの頃はああだった、こうだった、ってね。楽しい思い出がたくさんあればあるほど、老後は豊かになるのよ」

・・・楽しい思い出。
そういえば、デイのおばあちゃんたちが懐かしそうに話すのは、たいてい日常生活の話だ。

「雪をこいで学校に通った」
「かきもちが楽しみで」
「五右衛門風呂はな、子供だけで入ると危ないんや。だから必ずお母さんと入ってな」
「子供が生まれてからは忙しかったけど、毎日楽しかったな」
「旦那とはよくケンカしたわ」

いつもの毎日。
ふつうの毎日。

ふつうの日々はいつまでも続くように思えるけれど、実はそうじゃない。
ちょっとしたことで壊れてしまう脆いものだ。
だからこそ「ふつう」はとても大事で、貴重で、美しい思い出になるのだ。

猫が膝の上で寝てしまって身動きできないのも、ふつうの日々の大事な思い出だ。

コメント

  1. いつも楽しみに拝読してます。
    今日の訪問介護のおばあちゃんの言葉、すごく共感します。
    私も介護職で辛いことがあるのですがいつもいい思い出に逃げ込んで嫌なことを回避できています。ご家族の介護、大変な中、いつもイキイキとしていて、お手本にしたいと思ってます。

    • びょうさん、ありがとうございます。
      人生の先輩の言葉にはいつも真実が詰まっていますよね。
      いろんなことが起こりますが、逃げ込むことのできる楽しい思い出があるのは幸せなことです。
      お互い、お仕事がんばりましょー!

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