図書館の本を弁償する

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母が文庫本や新書判を読めるようになったのは、ちょうど一年前のこと。それまでは活字が大きめの本ばかり読んでいたから、
「これでなんでも読めるよ!」
と大喜び。母の読書世界はぐんと広がった。
図書館でどんどん借りてきはどんどん読んだ。
何時間でも読んでいた。
「本を読めるって、すっごく幸せ!」
読んだことを忘れて同じ本を何度でも読めるから、そりゃもう幸せである。

ところがだ。
先週、母が借りていた本を図書館に返却しにいったら、係の人に
「あ、これは」
と止められた。
「汚れがありますね」
餡かチョコレートか、一部のページに黒っぽいものがべったりと付着している!
『ながら読み』はさせないように気をつけてたのに!
なんでこんなことになったー!
西村京太郎先生ごめんなさいいいいいい!
慌てたあまり私は
「今すぐ洗ってきます!」
なんて言ってしまったが、本を洗えるわけがない。もちろん
「ごごごごめんなさい!弁償します・・・!」
ということになった。

母が汚しちゃったのは、西村京太郎の『新神戸 愛と野望の殺人』という本。同じ本を買って返さなくちゃいけないが、これがどこにも売っていない。調べてみたらタイトルが少し変更になっているようだ。


姫路新神戸 愛と野望の殺人』・・・姫路が増えている。

タイトルは違うが内容は同じみたいだし、これでもいいかどうかを図書館に尋ねたら、こう言われた。
「同じ本はもう手に入らないようですので、別の本を買っていただけますか?」

小麦100コロス』・・・新神戸どころか西村京太郎をかすりもしない、まったく別の本である。姫路のほうはすでに図書館にあるのかもしれない。
「これもリクエストが来ている人気の本なんですよー」
と言われた。
読みたい人の願いが叶うのはいいことだ。・・・けどなんかやっぱり、ちょっとだけ、新神戸さんに申し訳ないような気がしないでもなくて。

「もう絶対に汚したらダメだよ!」
母に言ったら
「誰が汚したの?」
と返ってきた。
母には半側空間無視があるから、汚したことに気づいてないし見えてもいなかったのだろう。見えていたとしても覚えていないのだろう。
「本を大切にしなさい。絶対に踏んだり、汚したり、粗末に扱ってはいけない。本には書いた人の魂が詰まっているから」
とは、本屋だった祖父の教えだ。
母が間違って汚さないように、くれぐれも気をつけなければいけない。

本日の猫写真。

「よう来たな!ほら、遊んであげるで!ほら!」

出勤したら大歓迎してくれたミー先輩。あとで遊んであげるから、とりあえず仕事させてください。

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