怒れる猫

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猫のことをよく知らない人たちは、猫はツンツンしているとか、冷たいなどというけれど。
全然そんなことはない。
少なくとも我が家の猫たちは感情表現が豊かだ。
しかも、よくしゃべる。
サンジもシシィも、うちのオヤジなんかよりずっと多弁。
朝はちゃんと「おはよう」を言うし、おなかがすいたら「ごはん」と言う。
ただニャーニャー鳴くのではなくて、日本語を真似て抑揚をつけるからよく伝わる。

さて今日も私はバタバタしていた。
休みの日ほど忙しいものはない。
朝から買い物や銀行やあちこちめぐって用事を済ませる。
母ひとりで留守番してもらっているるから大急ぎ!
2時間ほどかかっただろうか。
家に帰って車を降りたとたんに
「にゃおおおおおお!」
家の中から猫の声が聞こえてきた。
シシィさんの声である。
大きな声で
「にゃおおおおお!」
ずいぶん興奮している様子だ。

これはもしや、何かあったのかもしれない。
母に異変があって知らせようとしているのかもしれない。
シシィは賢い子で、以前にも、オヤジが鍋を焦がしたり、母が吐いたりしたとき、大声をあげて私を呼ぶことがあったのだ。
私は大急ぎで鍵をあけ家にとびこんだ。
「シシィ、どうした!何があった!?」
シシィはめちゃくちゃ怒った声で
「お部屋に入れないにゃああああああ!」
と訴えていた。
私の顔をみるやとびついてきて、肩まで駆け上り、
「早くそのドアをあけなさい!」
と命令した。

買い物にいくとき、私が母の部屋のドアを閉めたのだ。
いつもは猫たちのためにちょっと開けていくのに。
すきま風が寒いかなとか思ってきっちり閉めてしまった。
もちろん猫たちは中にいると思っていたのだけれど、いつのまにかシシィが外に出ていたらしく
「お母さんのお部屋に入れないにゃあああ!」
廊下に締め出されて怒っていたというわけだ。
開けてやろうにも母は身動きがとれないので
「この子ずっと鳴いてたわ・・・」
とうるさそうに言った。

ごごごごめん、ごめん!
私が悪うございました!

怒れるシシィさんに謝りまくり、なでなでしまくり、ついでにサンジもなでまくり、2匹にちゅーるを差し出してようやく許してもらった。

締め出したのは悪かったけど、事故とかじゃなくてよかった・・・。

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