今クールは医療ドラマが多い気がする。
癌専門医ものとか救急ものとか。
そういう季節なのかな。
母が気に入っているのは天海祐希主演の『トップナイフ』だ。脳外科医もの。
脳は未知の領域だから、不思議な症状が多い。
脳腫瘍によって性格が変わったり。
記憶が一瞬しか留まらなかったり。
妄想をみたり。
母は毎回、感心して見ている。
「脳って不思議ねえ。こんなことあるんだねえー」
・・・って。
一言、いいか?
言っても、いいか?
「あんた言うなあああああ!
オカンのほうがよっぽど不思議じゃあああああ!」
母は脳出血のあと、それはもう各種さまざな妄想をみたのだ。
身近な人のことを「偽物」だと思ってしまうカプグラ症候群とか。
左手を「娘(U子)」だと思って話しかけたりご飯を食べさせようとするエイリアンハンド?とか。
なんでもかんでも「2つずつある」と思い込んでしまう妄想とか。
ほかにも、見当識障害や記憶障害、死んだおじいちゃんが見えちゃう妄想とか。
祖父もけっこうせん妄があったほうだけど、そんなもの比べ物にならない。
本当にもう、毎日がめっちゃおもしろかった。
オヤジに向かって
「私の夫は死んだんです!」
っていうし、私に向かって
「あんたは偽物でしょ、本物はどこにいるの?」
ってきくし、R子には
「あんたの旦那さんは2人いるでしょ。Bさんと、もう一人は誰だっけ?」
っていうし、目の前にU子がいるのに自分の左手のこともU子だと思ってるから
「わあ、U子が2人いる!どうなってるの?」
ってきくからその場の全員が
「そっちこそどうなってるんだよ!」
声をあわせてツッコんだものだ。
もう毎日どんどん変ってたから、ドラマというよりむしろバラエティ寄りだった。
楽しかったなー。
本人はそんなことすっかり忘れてるから
「ええー見たかったなー。そんなにおもしろいの、動画に録っといてくれたらよかったのに」
とか言うておる。
ドラマにでてくる人たちはみんな深刻な顔してるけど、リアルはのんきなものである。
そういえば介護福祉士試験の教科書に
『血管性認知症の特徴 意欲低下が目立つ、感情の起伏が激しい』
と書いてあるんだけど、うちのオカンは意欲低下したこといっぺんもないわ・・・この教科書、間違ってるんちゃう?