もしも私がヘルパーじゃなかったら

スポンサーリンク

私は訪問介護の仕事をしている。
今まで助けてもらった恩返しがしたくてこの仕事に就いた。
在宅介護の恩は在宅介護で返そうと思ったから。
この仕事はとても好き。
思った以上に楽しいし勉強にもなる。

しかし最近
「もし私がヘルパーじゃなかったら」
と考えることがある。
ご存知のとおり介護保険のヘルパーには制約が多い。
決められた以外の仕事はしてはいけないのだ。
仏壇の花を替えてもいけないし、飼い猫のゴハンをやってもいけない。
介護保険で雇われてるんだから仕方がない。
一度でも決まりを破ってしまえばなし崩しになってしまう。

でもやっぱり人間だから。
もうちょっとだけ手伝いたいなっていうときがある。
「私がヘルパーでさえなかったら」
と思ってしまうときがある。
もしも私がヘルパーじゃなかったら、落ち込んでる利用者さんを慰めることができるのに。
もしも私がヘルパーじゃなかったら、遠くの病院に連れていってあげられたのに。
もしも私がヘルパーじゃなかったら、息子さんの死に目に会わせてあげられたかもしれないのに。
もし、私がただのご近所さんだったら!

けれどもし私がただのご近所さんだったら、この利用者さんと出会うこともなかったかもしれない。
ご近所さんって案外、接点ないから。
利用者さんとの出会いは、この仕事に就いているからこそ得られる私の財産だ。

今日もまた新しい出会いがあった。
「久しぶりに病院を出られたからね。肉じゃがをね、つくりたいの」
すてきな笑顔でその方は言った。
「いっしょに作ってくれる?」
・・・はい、ぜひ!
私はお料理が苦手なんですが!
できるだけ長く、できるだけ多く、この方と一緒にお料理が楽しめますように。

本日の猫写真。

生乾きの雑巾をヒーターの前に置いておいたら、猫の座布団になってた。
おしり、冷たくない?