母のノート 6年前と現在

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片付けをしていたらノートが出てきた。
「これ何のノートだっけ?」
とっさに思い出せなかった。
開いてみるとミミズののたくったような文字が並んでいる。
・・・いや、私の字じゃない。
「お母さんのノートだ!」
6年半前、退院して間もない頃に書いた日記だった。

フィギュアスケートの中継を見ながら書いたっぽい日記

正直、あんまり読めない。あちこちに分かれて書かれているし字も間違っている。「テレビを見ながら書いたんだな」と思われる箇所もあった。母はよく目の前のもので頭がいっぱいになり、見たものをぜんぶ口に出したりするからだ。

それでもこのページはマシな方で、行が重なっていたり、同じことをくりかえし書いたり、創作漢字をあみだしているページもあった。もちろん、高次脳機能障害のせいでこうなるのだ。母の障害はなかなか重かった。

この頃・・・在宅介護を始めた頃。私は
「今の母には何ができるだろう」
と必死で考えていた。とにかく退屈させてはいけないと必死だった。本はぜんぜん読めなかった。パソコンなんかとんでもなかった。それでも文章が書きたいようだったから、鉛筆とノートを渡したのだ。
よく見えないから、机とかノートの表紙とか、とんでもないところに文字を書くこともあった。
「ここへ書くんだよ」
と線で囲ったらなんとか書ける、という程度だった。結局、この日記は私のほうが疲れてしまい、何日かでやめてしまった。

あれから6年半。
ついさっき、同じノートに書いてもらったら、こんな具合になった。

まあまあ上手に書けるようになったなー!(字が汚いのは元々だからしょうがない!)

今では文庫本だって読めるし、パソコンでテキストまで打てるようになった。2人バイオリンだって上手になった。可能性は、まだまだ広がる!

ちなみに、ウィーンへ行く前にドイツ語の勉強をした時のノートもあった。

ウィーンへ行くために、いっしょうけんめい、覚えたんだもんな。

本日の猫写真。

寒いと寄ってくる猫たち。二人で「ヒーターつけて」と言いにきたところ。