夢のなかの犬

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今日は犬の話をする。クロの話をする。

クロは、祖父が晩年に飼っていた犬だ。性格はやさしく、面倒見がよく、他の犬猫の世話をしてくれたばかりか私たちのことも「守るべき子供」だと思っていたフシがある。

なによりもクロはむちゃくちゃ賢い犬だった。人間の言葉を完全に理解していて、たとえば
「あとちょっと待って」
っていうと5分くらい待ってくれたし、
「今日の散歩は〇〇まで行こう」
といっておくと、〇〇に到着したとたん、
「さあ着いた。帰ろう」
とばかりに引き返すという具合だった。

クロの死後、しばらくして私は夢をみた。クロが迫って来る夢だった。夢の中のクロは足が無残につぶされていた。つぶれた足を引きずって私を追いかけてくるのだ。
「どうしたのクロ、その足はどうしたの」
話しかけたけどクロは何もしゃべってくれない。悪夢だった。

次の夜、こんどは妹が夢を見た。やはりクロの夢だった。私の見た夢とよく似ていたが、クロは妹にむかって
「足が、足が」
と訴えていたらしい。
「足? 足がどうしたの?」
妹は尋ねたが、クロは人間の言葉がしゃべれない。何か言いたいことがあるらしいのにもどかしかった、と妹は言った。

夢から数日後。我が家の猫で、クロの友達でもあったトラ猫のアンジーが、大事故に遭った。足をつぶされて、それがもとで死んでしまった。
「クロは教えてくれてたんだ」
妹と2人で話し合った。私たちの夢にでてきて警告してくれてたんだ、と。
「でもあの夢じゃ伝わらんやろ・・・!」

そのあともちょいちょいクロは私たち姉妹の夢に出てきた。
「おじいちゃんやおばあちゃんは滅多に夢に出てきてくれないのに、何年経ってもクロは律儀だね」
とか思っていた。

クロは死んでからもう20年近く経つのだけれど、つい最近も妹の夢にあらわれたという。

実は先日、妹の飼っていた猫(ヒナちゃん)がいなくなった。とても気の弱い猫だったから、迷子になって帰れなくなり、事故に遭うか野生動物にやられるかしだのだろうと妹は考えている。だがどうしても諦めきれなくて毎日悲しんでいたところ、夢をみた。
「クロがね、ヒナちゃんを連れてきてくれる夢」
夢の中で妹はやっと愛猫を抱きしめることができたのだという。クロのおかげだ。

やさしくて面倒見がよくて妙に律儀な犬のクロは、夢をとおして、今でも私たちを守ってくれているのだろう。そしてきっとクロの周りには、一昨年死んだアジャリや、アンジーや、ヒナちゃんや、その他の犬猫がみんないるのだろうと思う。

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(長寿犬で表彰されたときのクロ)

クロ、これからもよろしくね!

コメント

  1. 読んでいて目が潤んでしまいました。なんて律儀なクロちゃんなんでしょう。
    今でも皆さんを見守ってくれているんですね。

    私の会いたい黒猫は亡くなった当初夢に二度出てくれましたが、時の経った今では全然顔を見せてくれません。もう生まれ変わっているのかもしれません。

    • こんにちは。
      そうですよ、夢にあらわれない子はきっともう生まれ変わっているのですよ!
      人間近くで暮らした犬猫は人間にうまれ変わることが多いと聞いたことがあります。
      それとは知らず、貴方のお近くに暮らしているのかもしれませんね。

  2. 又聞きで聞いた「視える」人のお話ですが、
    毎朝ジョギングですれ違う人がいて、その足元に一緒に走る「犬」がいるんだそうです。
    その犬がもうご主人が大好きで、嬉しい嬉しい!楽しい楽しい!って感じなんだそうです。
    ほっこりして、ちょっとだけ切なくて、でもやっぱりほっこりなお話です。

    • わあ、なんて素敵!
      なんて可愛い幽霊わんこでしょう!
      犬さんも飼い主さんも幸せなお話ですね。
      そういえばうちの母はちょっと視える人で、初代の猫トラは今でも母の布団に寝に来るんだそうです。

  3. また鼻水が目から・・(苦笑)
    サンジとシシィの雪を眺めてる後姿の写真パソコンの背景にして
    ホッコリしてます。毎日、猫の写真に癒されてます~♡

    • め、目から鼻水(笑)。
      サンジとシシィ、基本は鬼ごっこばっかりしてますから、ああいう穏やかなショットは実は貴重なんですよ。
      実物はうるさいのであんまり癒されないですよー!

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