介護職は究極の接客業だといわれる。ご自宅へ伺ったり、お下の世話をさせていただり、利用者さんの究極のプライベートに触れることになる。
だから、新しい利用者さんとの出会いはいつもドキドキする。
とくに訪問介護は緊張する。
どんな方だろう。
どんなお家だろう。
どんな仕事になるのだろう。
うまくやれるだろうか。
不安と楽しみがせめぎあってドキドキする。
介護の仕事は出会い別れの繰り返し。
何年も同じお宅へ通うこともあれば、ほんの数ヶ月でお別れすることもある。
でも、長さに関係なくすべての利用者さんは私の先生だ。
長い人生経験から紡ぎ出される言葉や、きびしい風雪を耐え抜いた微笑みや、死をも見据えた眼差しで、いろんなことを教えてくださる。
「友達を大事にしなさい。年をとって最後に残るのは、家族でもお金でもない、友だちなんだよ」
「趣味を持ちなさい。後々、身体が少々動かなくなっても続けられるような趣味を。そうすれば自分を保ちつづけることができるから」
「希望はなくしちゃいけない。どんなに絶望的な状況でも、希望だけは持ち続けなさい」
「人の話をよく聴きなさい。良い話も悪い話も、その人の人生経験から抽出された言葉だ。人の話をきくことは本を読むのと同じ価値がある」
人は、人と出会うことでしか学べないこと、成長できないことがたくさんあると思う。私は労働力の対価としてお給料を頂いているけれど、それ以上に利用者さんから学ばせて頂いているから、そのぶんを少しでもお返しできたらと思う。仕事だからできることは限られているけれど、少しでも心地よく過ごしていただけるようになれば思いながら働く。
今月、初めてお会いした利用者さんとは小鳥の話で盛り上がった。
庭の柿を食べにくるメジロの群れがどんなににぎやかか。
カラスがどんなふうにおしゃべりをするか。
ヒヨドリがどんなにうるさいか。
「エナガは可愛いんだけどね!」
おしゃべり好きの利用者さんはこれから毎週いろいろなことを教えてくださるに違いない。楽しみになった。
本日の猫写真。悪さばっかりするのでオヤジに捕まったサンジ君。
・・・あと。
Twitterにも載せたけど、掃除してたらアジャリの迷子札を見つけた。
懐かしいアジャリ。私の相棒。泣きたい夜にはいつでもゴロゴロと子守唄を歌ってくれたアジャリ爺さん。アジャリもまた、いろいろなことを教えてくれた猫だった。この名札は私の宝物、いや、お守りにしよう。