猫たちの言葉

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猫の言葉は主にアイコンタクトとジェスチャーだ。じっとこちらを見つめたり、しっぽをからませてきたり、スリスリしたり、そっぽを向いたり、爪とぎしたり。昔うちにいたアジャリ爺さんは、まばたき一つでいろんなことを伝えてきたものだ。

ところがサンジは単純明快。私に話しかけてくる言葉といえば
「おなかすいた」
「遊ぼう」
「だっこして」
「ヨシヨシして」
「ぼく可愛い?」
がほとんど。とてもわかりやすい。

ぼく可愛い?ときかれたら、世界一かわいいよ、と答えなくてはいけない。

一方、シシィはよくしゃべる。猫語じゃなくて、普通に声をだしてニャアニャアとしゃべる。
シシィ! と呼べば
「にゃん!」
律儀に返事をするし、不満があるときは
「ニャニャン、ニャンニャア!」
まるで人間が文句をいうときの口調そっくりに鳴く。
真似をしているんだろうと思う。

サンジもアジャリも他の子もそんなことしないから、シシィにはちょっとだけ物真似の才能があるんだろう。
お腹がすいたときは
「ご飯!」
と言う。
文字にしたら
「ニャアン!」
かもしれないけど、イントネーションというかアクセントというか、声の具合で確実に
「ご飯!」
と言っているのがわかるレベルだ。九官鳥よりは下手だけど。
ご飯がすんだら
「おやつ!」
って請求してくるけど、こちらはまだあまり上手じゃなくて
「ワニャン!」
くらいにしか聞こえない。だからわざと「え、今なんて言った? 何がほしいの?」とからかうと、拗ねて向こうへ行ってしまう。

それだけではない。近頃では、私のことを
「だだー!」
と呼びつけるようになった。
正確には
「ニャニャー!」
なんだけど、母が私を「だだー!」呼ぶときとそっくりな調子で
「だだー!」
と言うのだから、びっくりだ。
シシィが私の名を呼ぶときは、たいていドアの向こうにいるときだ。猫の言葉(アイコンタクトやジェスチャー)が通じないとわかっているから、鳴き声で、名指しで私を呼ぶのだと思う。
かといって、
「だだ、って言ってごらん?」
と頼んでも、絶対に言ってくれない。
目の前にいる私を呼びつける必要がないからかな。

「早くヒーターつけなさいよ」って言ってるシシィさん

かつて同級生に
「え、あんた猫と話すの?ありえない!」
と笑われたことがある。
その子は犬を飼ってたけど
「犬を相手に話すわけないやん」
と言われて、びっくりしたものだ。
・・・犬も猫も、話すよね?もちろん!

訪問の利用者さんに、庭の小鳥と話をする人がいる。小鳥ばかりか、蜂でも蚊でも蛇でも、なんでも話をするそうだ。
「私は蜂にも蚊にも蛇にも噛まれたことがないよ。だってみんな顔見知りだもん。会うたびに挨拶しておけば、悪いことはしてこないよ。生き物はみんな、お隣さんの知り合いだ。」
私もこんなふうに年を重ねたいと思う・・・あ、虫はキライなんだけど。