私にしかできない母の日プレゼント

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今日は朝からよく働いた。腐る寸前のバナナを救出してケーキを焼き、庭のサクランボをヒヨドリと乱闘しながら収穫してジャムを炊いた。すべてを作り終えてから、ハタと気がついた。
「今日は母の日だから、お母さんのためにケーキとジャムを作ったよ!」
まあ偶然だったんだけど、母はとっても喜んでいたのでよしとしよう。離れて暮らす妹たちは立派な花を送ってくるが、私にしかできないプレゼントもあるということで。

ヒヨドリの上前をはねたサクランボ。ちょっとしかもらえなかった

もうひとつ、私にしかできないことがある。
2人バイオリンだ。

8月のコンサートに向けて練習中の『弦楽セレナーデ(チャイコフスキー)』。これが難しすぎてどうにも手に負えない。オケの子供たちがスイスイ弾くのがもう信じられないくらいである。私たちは弾けるところだけを弾くつもりだ。

一楽章は、4ヶ月がかりでだいたい分かるようになったが、全部弾けるというところまでいかない。
二楽章は最初と最後だけ弾くことにしよう。
三楽章も高音部はやめておこう。
そして第四楽章は…お手上げだー!

なにしろ、ぜんぜん練習していない。4楽章はついこのあいだ楽譜をつくったばかりで、まだ一回しか弾いてない。初見も同然だ。

子供たちがスイスイ弾いている隣で、私ときたらまったく音が取れなかった。音程がはずれすぎて幽霊が登場するときの効果音みたいになって、鳥肌が立った。
「こんな音、ぬか床が腐るわ!」
と母が笑った。周りの人たちも耳が腐りそうだっただろう。気持ちわるい音をだしてごめんなさい。

その一方、帰宅した母は
「あんたと2人バイオリンするの、すごく楽しいのよ。だって私、バイオリンが弾けなくなったら、生きる気力がなくなりそうだもん」
とも言う。

私だって2人バイオリンは楽しい。楽しいけど、しんどい。この曲はちょっと、難しすぎる。第4楽章を弾くためにはあと三ヶ月間、かなりの練習をしなければいけないだろう。オーケストラの曲はしんどいのだ。演奏会はキツイのだ。大曲だし、難しいし。練習に出なければいけないし、それだけで毎週日曜がつぶれてしまう。練習のあとで夕飯をつくるのはだいぶしんどい。

これからは仕事を増やしていく予定だから、来年はもう無理かもしれない。そんな体力はないかもしれない。この夏が、2人バイオリン最後のコンサートになるかもしれない。

最後かもしれないから。弦楽セレナーデ、もっと上手に弾けるようになろうと思う。