助けられ上手になろう

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こんな話を聞いた。
「車椅子を押して歩いていたら、上り坂にさしかかったところで『手伝いましょうか?』と通りすがりの人に声をかけられた。けど、断ってしまった」
・・・どうして断ったんですか?
「なんだか悪いから。車椅子って重いでしょう?」
その人は介護を始めて間もないし、とても奥ゆかしい方だから、少し慌ててしまったようだ。

ああ、でも、私もだ。
私もついつい
「大丈夫です!」
って言ってしまう。大抵はほんとに大丈夫だから。遠慮とか断るとかいう意識はぜんぜんなくて、「ああこれくらい大丈夫なんで!」と言ってしまう。

私自身のことはともかく、日本人は基本的にシャイだし、自分の行動に責任をもち、他人に助けられることは良くないことだと思っている。在宅介護者は責任感の強い人が多い。少しくらい困ったことがあっても
「自分でなんとかしなくちゃ」
「人に迷惑をかけないように」
と考えてしまう・・・考える癖がついている。
だから通りすがりの人が手を差し出してくれても
「大丈夫です」
と、つい言ってしまうのだ。
大丈夫。
それが口癖だから。
口癖になるくらい、ずっとそういう状況にあるからだ。

でもこれってきっと良くないことだ。
なんでも一人でやろうとすれば、いつかポキンと折れてしまう。
「大丈夫」
って言っている人ほど、ほんとは大丈夫じゃない。

第一、人の親切はありがたく受けるべきだろう。だって親切を申し出た人は、勇気をだして声をかけ、赤の他人に手を差し伸べてくれているのだから。

「電車でお年寄りに席を譲ったのに断られた」という経験をもつ人は多い。あまりいい気はしないし、バツの悪い思いをしたはずだ。そうすると次に同じような状況に遭遇しても
「また断られるのは嫌だから声をかけないでおこう」
と思ってしまう。親切の芽をつぶしてしまうことになる。

だからたとえ大丈夫でも、必要なくても、受けて問題のない親切ならば受けたほうがいい。とりあえず手伝ってもらって
「ありがとうございます。助かりました!」
と、しっかりハッキリお礼を言えば、相手も気分よく過ごすことができるし、
「また手伝おう」
と思ってくれるかもしれない。これをきっかけにボランティアに興味をもったり、介護に積極的になったりするかもしれない。

助けを必要としている他の誰かのためにも、まずは自分が『助けられ上手』になることが必要だと思う。遠慮したり、申し訳なく思ったり、恥ずかしがっていたら、きっと福祉は進まない。(もちろん他人に手を出されるとかえって危ない状況もあるから、そういう時はちゃんと説明をして断るべきだと思う)

本日の猫写真。

見返りサンちゃん。食欲の秋で、一日中「ごはんちょうだい!」と言っています。そして食べすぎて吐いてます。

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