飛行機のタラップを車椅子ユーザーが腕で這い上がった件について

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朝からびっくりするようなニュースを見た。
障害をもつ人が格安航空会社バニラエアと揉めた話。

鹿児島県奄美市の奄美空港で今月5日、格安航空会社(LCC)バニラ・エア(本社・成田空港)の関西空港行きの便を利用した半身不随で車いすの男性が、階段式のタラップを腕の力で自力で上らされる事態になっていたことがわかった。バニラ・エアは「不快にさせた」と謝罪。車いすでも搭乗できるように設備を整える。(元記事)

なんでこんなことになるんだろうと、本当にびっくりした。

私は妹や母や車椅子をつれてこれまで何度も飛行機に乗った。大手はもちろん、LCCであるジェットスターやピーチでも、予約の際には必ず車椅子であることを申告しなければならなかった。そして航空会社に車椅子の大きさや重さ、材質、電動かどうか、などを答えなければならない。

ちゃんと申告して、航空会社がその人が車椅子ユーザーであると把握していたら、普通は
「奄美大島にはタラップしかないですよ」
と事前に連絡をして、どうやって昇り降りするか相談するのではないだろうか?

十年前、車椅子の妹をつれてエジプトを旅したとき、ルクソールの空港にはやっぱりタラップしかなかった。どうするのかと思っていたら、スチュワードさんがお姫様だっこで降ろしてくれた。思わず
「体の大きな人だったらどうするのですか?」
と尋ねたら
「任しとけ! 俺、力持ちなんだよ」
と笑って答えてくれた。

とはいえ、タラップを抱っこで降りるのって見るからにスリリングだ。車椅子ごと担いで、というのもやっぱり危ないから止められたんだろう。でも他に方法がなかったら仕方ないじゃない?

障害者でも気兼ねなくどこにでも行けるように、というのは理想だが、現実は追いついていない。今は法律でいろいろ決められているし、もちろん障害者も健常者と同じサービスを受けられるべきだが、フォローを受けるにはそれなりの手配が必要だ。

今回は実際にどんなやりとりがあって、こういうことになったのかは分からないけれど・・・この言葉だけはいただけない。

「歩けない人は乗れない」と言われた。

この言葉、しょっちゅう耳にする。
しょっちゅう悲しくなる。
私でそうなんだから、母はもっともっと悲しいだろう。

でも、これだけを切り取って差別だというのなら、一番障害者差別がひどいのは、USJってことになっちゃう。 あそこ、歩けない人が乗れるアトラクションぜんぜんないんだもん。(それでも母はUSJが大好きだ)

車椅子の人が、飛行機でもアトラクションでも乗れる世の中になりますように!

本日の猫写真。
猫じゃらしで遊びすぎて、走り回りすぎてヘタバッたシシィさん。

犬ならハアハア舌出してる状態かな。顔が怖いよー。

コメント

  1. ずっと拝見していますが、久しぶりです。
    ご本人のインタビューで、事前に問い合わせをすると、断られることが多いので、あえて連絡しないで現場に臨むと仰っていて。それは現場も混乱して対応しきれないこともあるのだろうなと推察します。
    義妹の夫が片麻痺ですので、年に一度の兄弟姉妹での旅行では、バリアフリーについて考える事が多いです。近場でも義妹夫婦だけで旅行するのは無理だと思います。
    スイスに行った時、トレッキングコースに車いすやベビーカーが当たり前のようにいて、楽しそうに過ごしていたので、やればできるんだと思いました。前提が違うな、人々の意識も違うなと考えさせられました。
    健康だけど90歳になる母が、いつまでも不自由なく出かけられると良いな。それは将来の私たちの問題でもあるので。
    東京オリンピック・パラリンピックに向かって、日本でも意識が変わると良いですが。

    • おお、お久しぶりです!お元気そうでよかったです。
      >ご本人のインタビューで、事前に問い合わせをすると、断られることが多いので、あえて連絡しないで現場に臨むと仰っていて。それは現場も混乱して対応しきれないこともあるのだろうなと推察します。
      驚きました・・・そりゃ揉めるわ・・・。
      トレッキングコースに車椅子ですか!やりますね。
      うちの妹がいる施設でも、車椅子をかついでもらって登山するそうです(低山ですが)
      やればできるんですね。
      でもその道は険しい。
      パラリンピックまであと3年、車椅子がもっと普通になるといいですね。

  2. 報道を見て、この方は旅行のバリアフリー化をご自身の職業として取り組んでいるだけでなく、ご自身の身体をはって提唱されているのではと思いました。

    車椅子利用を事前申請しない場合に起こりうる事態はご経験上熟知されているが、敢えて連絡しない。それは、車椅子利用者の搭乗に○日前までの申し出が必要というルールがあること自体が、車椅子利用者移動の妨げになっているからです。

    ダダさんの書かれたとおり、利用者側は慎重な下準備と周囲の人々への細心の配慮をして旅行すべきであることは強く同意します。私も車椅子利用者の介護をしておりますが、未だに移動の行程を全て下見しないと連れ出すことに躊躇いがあります(^_^;) ダダさんのしなやかで前向きな姿勢とその力量にはいつも感動しております。

    一方で社会は、障害者移動のバリアフリー化につながるシステム構築や機能強化を進めるべきだと思います。車椅子利用者が緊急な用事への対応やふと思いついた旅行もできる社会に向かってほしいと考えます。

    • 昨日のニュースを初めて見たときは、
      「なんで航空会社と意思疎通できてなかったの?」
      くらいに思ってたのが、どうやら故意に連絡しなかったと知り
      「なんだクレーマーかよ」
      に変わり、今では
      「えっバリアフリーを求めて問題提起するプロ!?」
      と更に驚いています。
      世の中いろんな仕事があるものですね…。
      仕事としては成功なのでしょうか。

      飛行機に事前の連絡が必要なのは身体の安全を守るためですから、そのルールを省くのは難しい気がします。
      それよりも、もし連絡をしていれば航空会社側も乗せなかった、というところに問題があると思います。

      旅行時の下見は当然ですが誰でもできることではないですよね…。
      めっちゃ面倒くさいです。

      母は怖いものしらずでガンガン行きますが、私は臆病だから下見をします。
      一人で旅行しまくっていたときでさえ、最低限「行ける」と分かっているところにしか行かず、ウクライナなどは情報が少なすぎたため諦めました。
      旅行に限っていえば、車椅子であろうがバックパッカーであろうが、自分の身を守るためにできる範囲で情報を集めるのは当然のことだと思います。
      ただ、それが車椅子の場合広範囲すぎて…。

      今回の件でバニラエアは設備を導入するそうで。
      やればできるやんか!
      バリアフリー進んでよかったね。
      って素直に喜べない…

      パラリンピックに向けてバリアフリーは進めていかなくてはなりません。
      でも、設備を動かすのは人間です。
      今回の騒動のせいで車椅子に対するイメージが悪くなったのではないかと不安です。
      どんなにバリアフリー設備が増えても、差別が広がったら本末転倒ではないでしょうか。
      もっと違ったやり方はなかったのかなあと思います。

  3. 私の理解に誤りがなければ、この方は、車椅子利用の事前申告をいつもしないことにしているそうです。多分車椅子利用者が、事前申告しなイン場合でと搭乗できるように変えていくことがその目的なのだと思います。

    事前申告はスムーズで安全な搭乗のために車椅子利用者側が心がけるべきことだと私も思います。多くのケースは利用者側もそう対応できると思います。しかし、事前に申告していなければ搭乗できない(今回は事前に申告しても搭乗できないという、あまりにも酷いケースですが)ことは、車椅子利用者へのバリアとなると考えます。例えば海外出張では、急な行程の変更も想定済みの場合が多いですが、車椅子利用者であればそういった出張のある仕事も、車椅子であるがために最初からできないということになってしまいます。

    車椅子での搭乗の安全を確保に事前申告が必須だというご意見ですが、私はチェックイン時の申告でも、安全な搭乗を可能とする方途は検討の余地十分にありだと思います。

    この方への風当たりも大きかったようですね。もう少しご本人の行動に対するわかりやすい説明があったらなと残念です。

    • 常に申告なし、ということは何度も揉めているということですね!
      なんてタフなメンタル!
      事前連絡は電話一本でもできると思いますが、田舎の空港では人も設備を買うお金も足りないのでよその空港から借りてくる?と聞きました。
      間に合わないこともあるんでしょうね。
      それを変えたかったのでしょう。
      木島氏の変えたいという思いは、とてもよく分かります。
      けれどやり方がえげつなすぎたと思うのです。
      メディアでの報道のされ方も悪かったですよね。
      「車椅子クレーマー」への反感が一般の車椅子ユーザーにまで飛び火したらと不安です。

      一方で「車椅子は乗せない」と言い切ったバニラエアは間違いなく酷いです。
      こうでもしないと変えることはできない、と思い至らせるような会社だったのでしょう。
      木島氏は「ココロも含めた」バリアフリーを目指すと公式に書いてありました。
      最後は人間どうしのことですし、心のバリアフリーのためにはお互いに思いやりが必要なんじゃないかなあと思いました。