穏やかな朝だった。いつもどおりの朝だった。母は朝ドラを見ながら朝食をたべてお薬をのんで、私はデイサービスへ行く準備をしてた。いつもどおり。
(「お出かけするの?あたしも行くー」
シシィさんはダメです!)
なのに。
なんの前触れもなく母が嘔吐した。
嘔吐はたまにあるのだけど、血圧が異常に高かった。普段は(降圧剤のおかげで)低すぎるくらいなのに。
「もしや脳出血の再発では!?」
いつもどおりの朝が一瞬で暗転。
脳卒中の発作なら、頭痛や痺れが出るはずだ。
本人によれば、
「そういうのはない」
らしいが、あんまり宛にはならない。後遺症で左半身はずっと痺れたままだから気がつかないのかもしれない。
高血圧のせいで嘔吐したのか。
それとも、嘔吐のせいで血圧が上がったのか。
どちらか見極めがつかない。
市がやってる医療相談ダイヤルに相談したら、看護師さんに、
「頭痛もないようですし、お話を聞く限り緊急性はないように思いますが、なるべく今日中に診察を受けてください」
と言われた。
続いて私は職場に電話した。母を病院に連れていくから休ませてくださいと頼むために。でも上司の声を聞く前に、始業まであと30分を切っていることに気がついた。今から代わりの人を見つけることはかなり難しい。というか不可能だろう。緊急事態ではないので、午後から休ませてもらうことにした。
幸い母は落ち着いてきていた。
「まだムカムカする」
といってるが、血圧もちょっとずつ下がっているようだ。
ベッドで洗面器をかかえる母を残して私は仕事に出かけた。
看護師さんの言うとおり、意識がしっかりしているから再発ではないだろう。たぶん大丈夫だとはわかってはいたけど、それでも気になって仕方がなかった。また吐いてたらどうしようとか、万が一状態が悪化していたらとか想像してしまった。1時間おきに家に帰り、母の状態を確認しながら3軒の仕事を終えた。
帰宅すると母の顔色は良くなっていた。血圧も正常に戻っている。テレビの話をのんきに喋る余裕もあった。少しだけれど昼ごはんも食べた。
・・・もう治ってるやんか。
そう思いながらも病院へ連れていく。
脳神経外科。CTを撮って診察を受けて、
「うーん、問題ないですね」
と言って返された。
やっぱり、なんでもなかったのだ。
問題なくてホッとした。
無事でよかった。
もちろん、それが一番なのだけど。
・・・なんだろう。
ちょっと残念というか、微妙にしくじった気分になった。
「なんやねんな! 焦って慌てて、仕事休んで迷惑かけて、なんもなしかーい!」
私は大げさだったのだろうか。
心配しすぎたのだろうか。
休んだ仕事がハードな内容だっただけに、代わってもらった先輩に申し訳なくてたまらない。初めてのことだったけど、やっぱり仕事と介護の両立は、これからいろいろ問題が出てくるんだろうなと思った。
仕事しながら育児してるシングルマザーの人を、ほんと尊敬する。
コメント
だださん、こんにちは。
日課のようにブログを開いたのですが、タイトルとさわりだけ見て、えっ!?と読むのをちょっと躊躇ってしまいましたが、お母さまの診断は大丈夫とのことで私もほっとしました。よかったです。
仕事って、チームワークもあるし、私は休暇を取ることを気兼ねしまくる昔人間なので、だださんが、この状況で半日出勤されたお気持ちお察しします。でも、どうか無理はしないでくださいね。
私の夫は昨秋難病を患い、日常生活はおかげさまで問題ないのですが、旧知の人には「あれ、どうしたの?」といわれる体になりました。症例が少なくて、どのようにどこまで病気と付き合っていけるかわかりません。父を亡くして半年足らずのことでちょっと参りましたが、過去のタラレバや、読めない将来を考えてもしょうがないので、日々を、自分たちなりに、出かけたりケンカもしたり、普通に過ごすことにしています。
では、今日も一日ハッピーでありますように!
こんにちは。
ご主人のご病気、難病とは大変ですね…。
昔、パーキンソン患者の方に
「明日になったら研究が進んで新しい薬ができるかもって思いながら生きてる。希望だけは捨てない!」
と言われたことを思い出しました。
母は今日は普段どおりの血圧にもどり元気になりました。
上司には
「朝から休んで良かったのにー!」
と言ってもらえましたが、どんなに理解のある職場でもやっぱり気をつかいますね。
ぽさんもハッピーな週末をお過ごしくださいね!
そりゃあ介護しながら仕事は大変でしょう。しかも体調悪いお母様を家に一人置いて仕事行かれるのなら余計。。結果なにも異常がなくて良かったですね。
ありがとうございます。
原因は不明ですが異状なしが一番です。
何かしら働かないと食い詰めてしまいますが、吐き気の残る母を置いていくのは罪悪感ありまくりでした…。
息詰めて読んでしまいました。
だださんほどハードではありませんでしたが、私も親の介護の経験がありますが、
仕事との両立ほど気を揉むものはありませんね。
とりあえずほっとしました。
ご心配おかけしてすみません。
育児と同じで仕事との両立はなかなか難しいものです。私は今は楽だけど、これから昨日のようなことが増えてくるんだろうなあと覚悟しています。
いつまで働けるか分かりませんが、なんとか方法を考えていきたいと思っています。