掃除をしていたら引き出しの奥から古いメモを見つけた。
カレンダーの裏書、メモというよりもただの走り書きだ。
日付は・・・2015年1月29日。
「ああ!あれか!」
思わず声がでた。
・母が左手でバイオリンをつかんだ!
・母の肘があがった!
・私はサードポジションで弾く方法を編み出した!
・母と私と2人だけで温泉に入れた!
・百万円たまった!待ってろウィーン!
これは私の願望をつづったメモだ。
奇跡を願ったメモ。
メモを書いたのは7年半前。
あの頃、私は母の介護でいっぱいいっぱいだった。
母はまだグダグダで、私は仕事もできず付きっきり。
それでもなんとか「ウィーンへ行こう」とリハビリを頑張っていた時期である。
当時から2人バイオリンを練習してはいたけれど、まだ良い方法に出会っていなくて。
なかなかうまく弾けなかった。
すると母はよく妄想をみて
「私は一人でもバイオリンが弾けるのよ」
と言っていたっけ。
願望から妄想をみるタイプなのだ。
それが私にはつらかった。
当時、世間では『引き寄せの法則』がはやっていた。
幸せを引き寄せる法則、願いをかなえる「おまじない」。
それはたしか、
1)願いが叶った、と強く想像する
2)願いが叶った喜びを紙に書く
3)紙を目につかない所へしまっておく
というもの。
強く言葉にしたものは実現する。
いわゆる言霊みたいなものだと思う。
私は藁にもすがる思いでこれを実践したのだった。
それが、このメモだ。
7年ぶりに見返せば、紙に書いた願いは、半分くらい叶っている。
2人バイオリンはそこそこ上達して、サードポジションで弾けるようになった。
百万には届かなかったけど、私たちはちゃんとウィーンに行くことができた。
なかなかではないだろうか?
メモを書いた当日の日記に、私はこう綴っている。
「そんなものありえない」という人には、けして奇跡は起こらない。
「不幸になるかも」と恐れている人のところには、けして幸せはおとずれない。
否定する気持ちからは、良いものは何もうまれない。奇跡はかならず起きるし
幸せはかならずやってくる。
のんきだろうか?
お気楽だろうか?
ときどき「お気楽すぎてイライラする!」って言われちゃうんだけど。
今だから言うけどね。
・・・この日記、泣きながら書いたんだよ。
ポジティブシンクを爆発させてたらこうなりました、ってキャラに見えるかもしれないけど、私は生まれつきポジティブじゃない。
実は泣き虫で、弱虫だ。
ひよわな豆腐メンタルの持ち主。
母が倒れたときも、在宅介護が始まったころも、妹を施設に入れるときも。
毎晩毎晩アホみたいに泣いて、膝をついて、そこから立ち上がって、空を見るようにしてた。
心配して顔をのぞきこんでくる猫のアジャリをなでながら
「よし、泣くの終わり!」
って決めて
「ウィーンへ行く!」
って言い切った。
涙ダーダー流しながらね。
(今までこういう話は隠しちゃってた。なんでだろう)
幸せを引き寄せたんじゃない。
自分で決めて、そちらに行っただけの話。
たぶん、みんなそうじゃないかな。
コメント
だださん、そんな大変な葛藤の日々があったのですね。日記に書いた事を実現する為の努力は本当に大変だったと思います。それを余り気が付かずに、ブログを楽しく読ませていただいて、何だか申し訳なく思います。でも、だださんのブログは大好きです。
ありがとうございます。
どんな人でも苦労のない人生なんてありませんから、語るほどじゃないかなって、こういうことは今まではなんとなく書くのを避けていました。
なにしろのど元過ぎれば熱さを忘れるタイプなので…