大事にしますといってもらえる本

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文章を書くのって体力がいる。
一日の終わりにはもう精根尽き果ててしまって頭が働かない。
言葉は散らかり、文章は解れ、PCに向かう指もおぼつかない。
ひどい有様だ・・・。
それでも少しずつ、少しずつ。
書いていかなくては。
怠らず精進しなくては。
Tさんに恥ずかしくないように。

8月の頭に、印刷所から、こぢんまりした冊子が送られてきた。

職場の介護事業所でこしらえた本だ。
訪問やデイサービスの利用者さん一人ひとりにインタビューをして、若い頃のお話を聞き、文章化した。
戦前の笑い話、戦争中のつらい話、戦後の希望にみちたエピソード。
青春の話、子供時代の思い出、人生を明るく生き抜く術。
利用者さんの声が聞こえてくるような文章をと思いながらまとめたのだ。

3,40人にも聞いただろうか。
HPに掲載していた文章を、事業所の企画としてまとめ、1冊の本になった。
紙の本という手で触れられる形になったことで、利用者さんには喜ばれたものだ。
だが、それがさらに紙芝居になったり。
授業で使われたり。
メディアに載ったり。
いつのまにか発展しているんだから驚いた。

私がインタビューして書いた文章だったが、私の手を離れ、それはどんどん形を変えていった。
本にまとめる段階でだいぶ変更があった。
紙芝居にすると完全に別物だ。
メディアに乗るとどうなるのだろう。
ほとんど伝言ゲームである。
今は「ほえー」と思いながら眺めているところ。

一番うれしかったのは、利用者さんからお手紙を頂いたことだ。
いや、元・利用者さんというべきか。
インタビューのあと遠くへ引っ越された方だ。
「もう2年も前のことだから私のことなんか忘れてるだろうな」
と思いつつ、本をお送りした。
そしたら!
なんと、直筆のお手紙が返ってきた。
黒々とした力強い筆跡で。
今も元気でやっていると。
あの頃は楽しかったねと。
そして
「本は一生大事にします」
と書いてあった。
高齢者にとっての「一生」はどれくらいの時間を表すのだろう?
数年か。数ヶ月か。
たとえそれがたった2,3日だとしても。
「大切にしよう」と思ってもらえるものができたなら、よかった。
たとえどんな形だとしても。

コメント

  1. おかえりなさい
    Twitterの方は時々覗いていましたけどね
    のんびり自由に行きましょう

    • ただいまです~
      のんびりやってたらもう二度と帰ってこないかもしれないw
      ので叱ってもらえてよかったです。
      1ミリずつ頑張ります!

  2. 久しぶりのブログ!とっても嬉しいです!!

    遠距離介護しながらいつも楽しませてもらっていました。

    猫とビターチョコレート 大好きです。

    とっても嬉しい!ただそれだけです(笑)

    • ありがとうございます!
      三日坊主にならないよう頑張りますw

  3. ずっと待っていました。おかえりなさい、だださん。
    ずいぶん前に息子の話を聞いてもらったましろです。
    息子はこの4月に新しくオープンした神戸の施設に入所しました。
    コロナのこともあり、私はそれっきり一度も会えていませんが、zoomの映像から、元気にやっているようです。
    いろんな気持ちを書き留めておくのって、実はものすごく大切なことなんだと思って、私も遅ればせながら、5年日記に挑戦してみようと企んでいます。だださんのように書けるか?とも不安ですけど、修行ですね。何事も。

    • ご無沙汰しています!
      ただいまです。
      息子さん入所されたのですね。
      いろいろ切ないこともありますが、それもふくめてすべてが思い出になるのですよね。
      5年日記がんばってください!
      お互い修行しましょう(笑)

  4. 今日のNHKニュースで大きく取り上げられていました!読んでみたいです。

    • ありがとうございます。実費を頂きますが、それで良ければお送りしますよー。