このあいだデイサービスのレク用に双六をつくった。人生ゲームみたいな双六だ。
「子供っぽいレクは嫌」
という利用者さんが楽しめるように考えたのだ。
完成形がコレ。
テーマは「女の一生」。スタートは赤ちゃんで、子供時代、娘時代、新婚時代…と経てゴールはここ、デイサービス。ゲーム開始前におもちゃのお金を配っておき、「全員がゴールした時点で誰が一番お金持ちか」で順位を競う。
双六なのですべてのマスに指示がある。
例えば
「友達とケンカ。足踏み10回」
「五十肩になる。肩回し10回」
という運動系の指示。
「嫌いなもの、怖いものを告白する」
「理想の男性像を語る」
というお話系の指示。
「音楽の時間。みんなで歌いましょう」
「子供に子守唄を歌いましょう」
と歌わせる指示。
それからもちろん
「子供が商品をこわして罰金1万円」
「出産をして全員からお祝い金をもらう」
という金銭のやりとりもする。
ゲーム最大のイベントは「就職」と「結婚」だ。まずは女優・看護師・教師・銀行員など数種類の「職業カード」を作り、成人マスに達した人から好きなものを選んで就職してもらう。
結婚マスに進めば結婚相手も選ぶことができる。
これは気合を入れて写真入りの「夫カード」を作った。
映画スター(市川雷蔵・長谷川一夫)
刑事(太陽にほえろ!の石原裕次郎)
政治家(小泉進次郎)
大学教授(福山雅治のガリレオ)
サラリーマン(竹野内豊)
医者(斎藤工の最上の命医)
芸術家(芥川龍之介)
歌手(氷川きよし)
など。
職業で選んでもよし、写真で選んでもよし、というわけだ。
結婚をした後はコースが分岐して、「専業主婦」と「職業婦人」の2つの道に分かれていく。人生は波乱万丈で、止まるマスによっては
「会社をクビになり専業主婦になる」
「生活苦のため職業婦人になる」
とコース変更もあるし、
「じゃんけんに負ければ離婚」
「離婚した人は再婚のチャンス」
というコマもある。
職業カードと夫カードの裏に金額が書かれており、還暦を迎えればその金額を手にすることができる。だが油断は禁物。最後の最後に
「振り込め詐欺にあう」
というコマに止まれば全財産をもっていかれてしまう。
作っているときは楽しかった。
だが完成してからハタと気がついた。
「これは高齢者向けといえるのか? デイサービスで遊べるのか?」
どう考えても完全な自己満足ではないか…!
ま、やってみよう。
今日デイへ持っていき、利用者さんたちにやってもらった。
結果。
だいぶ微妙でございました。
プレイしてくださったのは6人。そのうち3人が認知症の利用者さんだ。
全員、双六のルールは分かる。
コマの進め方もお金のやり取りも問題ない。
ただ・・・
なんていうか・・・
ピンとこなかったみたい。
とくに認知症の方は
「夫を選ぶ」「職業を選ぶ」
ことの意味がよくわからなかった様子。
人生ゲームの意味を理解していただけなかったのかも?
「だってうちらが若い頃は、男の人を選ぶやなんて、そんな時代じゃなかったもん」
あー、そういうことか…。
それでもまあ、比較的しっかりした方々は
「退職金もらえた!」
「スチュワーデスになりたかったの」
「夫は真面目な人がいいです」
と一喜一憂、そこそこ楽しんで頂けたように思う。
本日の猫写真。
帰宅したとたん、2匹そろって「ごはんくれ」ポーズ。そこテーブルだから乗らないでほしい…
コメント
パチパチパチパチ すごーい!
忙しいのによくこんなん作りましたね。
認知症の人にはちょっと無理かもですが、楽しそう!
何より「夫カード」がナイス!
ところで「妻カード」はないの?
やっぱり女性ばっかりなのか~
ありがとうございます。
台風でちょうど休みになったので。
高齢の方にはピンとこなかったようですが、介護士的には楽しかったです(本末転倒)。
>ところで「妻カード」はないの?
>やっぱり女性ばっかりなのか~
そうなのです。
うちのデイは小規模で現在女性のみなんですよー
あの年代に同性婚はありえないので。