ほんのいっとき、借りてるだけ

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訪問介護の利用者さんはおしなべて愚痴が多い。
「もうアカンわ」
とよく言われる。
体調のことだけじゃない。
「自分では何もできなくなってしまった。生きる価値もない。お荷物になるだけだ」
と。
そんなことないですと私は答える。
本心からそう思ってる。
本人は情けないかもしれんけど、ご家族も大変やけど。
自力でトイレに行けなくなったからといって、生きる価値がない、なんてこと絶対にない。

私は知っている。
重度障害のある妹が、その笑顔で周りをどんなに明るくしてきたかを。
私たちデイの職員は知っている。
認知症のために言葉すら忘れてしまった利用者さんが、どんなに澄み切った声で歌うかを。
訪問介護の職員はみんな知っている。
さまざまなお家で、さまざまな人生を見せていただくことが、どれほど勉強になるのかを。

高齢者は先を歩く教師だ。
どんなふうに生き、どんなふうに最後の日を迎えるべきか、私たちは学ばせてもらっている。
たくさんのことを教えてもらっている。

「この世はすべて借り物や」

と、ある利用者さんが教えてくれた。

「人は誰でも裸で生まれてきて、天に帰るときもせいぜいお棺に入るくらいのものしか持っていけない。
すべてのものは、いっとき、この世にいる間だけ借りてるだけなんや。
ほんのいっときな。

借り物やから、大事に使うんやで。
自分のお金で買ったからって、自分のものになるわけじゃない。
なんでも大事にせなあかん。
物も、自然も、あんたの体もな」

こんな話をしてくれる方に生きる価値がなんて、絶対にない。

猫も借り物なん

コロナ感染がまた増えています。
今日は妹の面会に行く予定だったのだけど、わりと近くまで迫ってきたので電話にしました。
無事に乗り越えられますように・・・。

コメント

  1. 美知子上皇后陛下もおっしゃってられました。

    以前のようにピアノが弾けないことを、上皇后陛下は「今までできていたことは授かっていたもの、それができなくなったことはお返ししたもの」と受けとめている。(宮内庁)

    順番にお返ししていってるって思えば、少しは気が楽になるのかなあ~
    そこまで私は達観できるかなって思ったりもしてます。

    これと似たようなことばで「この障害、(災難)に耐えらえるひと、病気と闘える人にしか与えられない」というようなのがありますが、こちらのことばはあまり好きではありません。
    だれでも、好き好んで障害や災難、病気を選んでいるわけではないのに、あなたは耐えられるでしょ、だからそうなったのと言われるのはとても寂しいです。

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