仲睦まじい夫婦の話をしよう。
認知症のご主人を、奥さんが一人で介護をして、もう10年になるだろうか。
奥さんはしっかり者で愛情深く、それはそれは甲斐甲斐しくお世話をされている。
「結婚したのが遅かったから子供はいないんよ。ほいでもべつに寂しいとも思わんし、2人いれば十分や」
と言う。
見ていて微笑ましいご夫婦だ。
しかし最近、奥さんに病気が見つかった。
手術が必要だ。
「どうしよう・・・」
奥さんは困った。
「私が入院している間、この人はどうすればいい?」
ご主人が認知症になってから10年。
訪問サービスは受けていたものの、デイやレスパイトは一度も使ってこなかった。
ケアマネはずいぶん勧めていたが、
「だってあんな所にやるのは可哀相でしょう。本人だって『家がいい』って言ってるし」
と奥様が断り続けていた。
現在、ご主人の認知症は進み、一人ではほとんど何もできない。
すべてを奥様が手伝い、ご主人は奥様に言われたとおり体を動かすだけ。
この10年間、二人はずーっと同じ部屋にいて、ずーっと一緒に過ごしている。
病院でも買い物でもどこへ行くときもずーっと一緒。
外から見れば微笑ましい夫婦なんだけど、ヘルパーの目線で見れば完全なる共依存である。
結果、
「私の入院中どうすればいい?」
ということになる。
せめてお子さんがいれば少しは違ったのかもしれない。
デイやショートを利用して施設利用に慣れておけば全然違っただろう。
ラブラブ夫婦だかなんだか知らないけど、2人きりでべったり介護するのは危険でしかない。
親子でも夫婦でも共依存は最後には悲しい結末を生む。
介護者が突然亡くなって大変なことになった利用者さんもいたし、介護が終わってしまったことに耐えられず心を壊した家族さんもいた。
「介護はみんなでするもの」
と、うちの母はよく言っていた。
どんなに元気な人でも明日は事故で死んじゃうかもしれない。
そうなっても困らないように備えておくことが必要だと。
「誰にでも見てもらえるようになるのが理想」
だと。
多くの人に助けてもらえば、介護のしんどさを分かちあうことができる。
つらさや悲しさを共有することができる。
介護保険サービスの一番大事な役目はそれだと思う。
介護は一人でしちゃいけない。
コメント
「あなたが入院したらor先に天に召されたらどうするの? その時の練習と思って」
と言ってくれる方はいなかったのでしょうか
言われても聞こえてなかったのかな
もちろん、ケアマネさんにも言われてましたし、なんなら私も言ってました(笑)
でもうるさがられるばかりですね。
「家族のことに口出すな」と。
愛と共依存は違うと思うんですが、私にはわかりません・・・。
言われてたのに、本当の言葉の意味が全然聞こえてなかったんですね
今は親身に忠告してくれる人もいないけど、他人の言うことに耳を傾けられる高齢者になりたいです
親身な忠告ほど耳が痛いですからね。
「家族のことに口を出すな」
と、二人だけの世界を作ってしまわれる方はけっこう多いです。
ホントにそうですね。
うちも父は既に他界し、その時は家族だけで頑張りましたが
今後、母、歳の離れた兄弟……と順番に介護すると考えると、、、
必ず皆さんの力を借りようと思いました\( ˆoˆ )/
人のネットワークは、急には作れませんから、
コロナ禍で新規の人脈が広がらなくなった分、意識して広げていこうと思います
おお、これから先が大変なんですね。
介護において人間関係は宝物ですね。
いろいろ大変ですけど(笑)
お互い頑張りましょうね!
仲睦まじい〜と始まるのでほのぼのとした
お話かと思ったら
後半は辛口で少し驚きました
両親の世話をしている私も共依存して
いないか?と少し不安になりました
誰でも多かれ少なかれそういうのありますよね。
そもそも恋愛関係からして共依存と言ってしまうこともできるかも・・・
私は猫と共依存の関係です。どうしましょう。
お母様、さすがです。
先見の明がありますね。
わたしは母が脳梗塞で倒れたとき、在宅介護するつもりでした。
いろいろあって、在宅介護ではなく特別養護老人ホームの入所を選びました。
在宅介護をしていたら、りっぱな共依存になっていたと思います。
いえ、恥ずかしながら、わたしは今でも母に依存しています。
母はホームの生活にすっかりなじみ、楽しく生活しています。
だから母はわたしに依存していないけど、わたしは依存している。
今は、自分と母の人生を切り離して考えようとしているところです。
ようやくそんなふうに考えられるようになりました。
母は、障害児を育てる親が子離れできないでいるのを数多く見てきたそうです。
愛情が強すぎて独占欲みたいになるのだと言ってました。
>今は、自分と母の人生を切り離して考えようとしているところです。
ちびごりらさんは、少しずつ前へ進んでおられるのですね。
私もなかなか難しいですが、お互い、自分の人生を歩いていきましょう!