人は羨む生き物

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階下のおじいさんが口うるさい。
スプーン1本落としても文句を言われるし、孫が泣いたりしようものなら
『うるさい!』
と怒鳴り込んでくる。
本当に困ったものだ。
・・・そんな話を聞いた利用者さんが、ため息をついてこう言った。
「その方、きっと羨ましいんでしょうね。孫のいるお宅が」
うらやましくて寂しくて、人に当たるよりほかに気持ちのやり場がないんだろうと。

人は羨む生き物だ。
どんなにお金があっても。
恵まれていても。
みんな誰かを羨んでいる。

ルックスのいい人が羨ましい。
若い人が羨ましい。
仕事のできる人が羨ましい。
夢をかなえた人が羨ましい。
夢にむかって努力できる人が羨ましい。
・・・なんだって羨むことはできる。

そういう私だって、介護しないで生きてる人が羨ましいと思うことはある。
けど、そんなこと言ったって仕方がない。
他人と自分は違う人間なので、比べることなんかできるはずがない。
桜とバラとどちらが綺麗か比べるようなものだ。
だから「羨ましい」っていう気持ちは、比べることができないものを比べようとして見誤った結果。
幻か錯覚か、妄想みたいなものだと思う。

「結局、ヒマなのよ」
と利用者さんは言ってのけた。
「ヒマだから他人を見て『羨ましい』とか思っちゃうのよ。自分のことを一所懸命にやってればそんなこと考えてるヒマなんかないわけだから。私なんかもう生きてるだけで精一杯で、そんなこと考えないわよ。・・・あ、でおも若い人はいっぱい動けるからいいなあって思うけど」

誰もが誰かを羨んで。
誰もが誰かに羨ましがられてる。
そんな妄想にとらわれず。
一所懸命に生きよう。

本日の猫写真。

おいしそう

豚の角煮を食べてるオヤジが羨ましいサンジ。