腎臓病のサンジ。
写真では元気そうに見えるけど、元気なフリをしてるだけ。
最近ずっと調子が悪い。
とにかく、なかなか食べてくれない。
昔から食べ物の好みがうるさい猫なのだ。
病院からすすめられた療養食をなんとか食べるようになってきてたんだけど、ある日突然、
「おいしくない!」
と気づいてしまった。
気づいてしまったらもう食べない。
それからいろいろ試してようやく、サラダチキンなら食べることがわかった。
しかも手作りサラダチキン限定である。
私は、サンジが食べてくれるなら、と来る日も来る日も鶏むね肉を蒸した。
ちょっぴり手間はかかるが、療養食よりずっと安い。
既製品より手作りゴハンを喜ぶなんて可愛いじゃないか。
しかしそれも儚い夢だった。
先日からまた
「これおいしくない」
と言い出したのだ。
冷凍庫いっぱいに胸肉を買い溜めている私としては、なかなかショックである。
今のところは市販の高カロリー介護食(通称・ぺろぺろゴハン)だけはなんとか食べてくれている。
それも普通のやり方ではダメだ。
手から直接あげないといけない。
ちゅーるをあげる要領で、なんなら指にのせて舐めさせる。
まあ、手から食べたがるのは甘えてるだけかもしれないけど。
それも必要なんだろう。
これ以上、体重が落ちないように。
なるべく点滴を受けないですむように。
少しでも長く一緒にいられるように。
また何か食べられるものを探そう。
「おまえ猫だけには優しいなー」
とオヤジがいつも羨ましそうに言う。