訪問介護の仕事で関わるのは、利用者さんだけではない。
ご家族さんともよくお話をする。
挨拶だけ、置き手紙のやりとりだけの方もいれば、介護相談をされる方もいらっしゃるし、遠距離介護なのにちょいちょいお会いする方もいれば、同居なのにまったく出会わない家族さんも。
いろんな家族があり、いろんな関係があり、いろんな在宅介護の形があるものだ。
そんな訪問介護の仕事を通して、しみじみ思うんだけど・・・
たしか相田みつをの言葉で
「育てたように子は育つ」
というものがあるが、
「育てられたように子は介護する」
ものだと思う。
家族の介護はこれまでの人生が土台になる。
親と子の関係性が介護に反映されている。
そのうえ親子は似るものだから。
高齢の親を虐待していた息子さんに理由を尋ねたら
「同じことを、いや、これ以上のことを僕はされていたんです」
と答えた。
甲斐甲斐しく介護する息子さんは、やっぱり、大事に大事に育てられた人だった。
細々と文句をいう母親の娘は、トシとった母親に細々と文句を言っていた。
「親父に自立心を育てられた」という息子は、百才近くなっても一人暮らしをつづける親を応援していた。
ちなみに、まったく介護に携わらないお嫁さんは
「なんであんな人の介護をしなくちゃいけないのよ!」
と言っていたっけ。
もちろん全員がそうっていうわけじゃない。
人間は変わるものだから。
介護が始まることで和解する家庭もある。
頑張ってるお嫁さんやお婿さんもたくさんいる。
でも一部では確かに自業自得だったり因果応報だったりするわけで。
何が言いたいかっていうとね。
親の介護がうまくいかないで悩んでる皆さん。
優しくなれなくて悩んでる皆さん。
あなたのせいじゃないです。
あなたが悪いんじゃないです。
あんまり無理しなくていいと思います。
私も、同じだから。
家族介護から感情を排除することは、たぶん不可能だと思います。