私の席

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一か月あまり入院していた利用者さんが帰ってきた。
デイサービスは大盛りあがり。
「わあ、Yさんが来はったでぇ!」
「おかえりなさい!」
「おかえり、Yさん!」
「わあ、久しぶりやなあ」
「よう帰ってきはったなあ」
皆さん口々に喜び、笑顔で迎え入れる。

Yさんは明るいムードメーカー。
負けず嫌いの勝負師なので、私たちスタッフも
「Yさんがいないとゲームが盛り上がらないんで寂しかったですよ!」
とお伝えした。

Yさんは自分の席に腰を下ろすと
「ああ、ああ、この景色や。この景色を見たかった」
と満面の笑顔。
「入院、長くてヒマやったから、早くここへ来たかってん。早くサロンに行って私の席に座りたいなあって、ずーっと思ててん。ようやっと来れたわ!」

私は嬉しかった。
数年前、初めてデイに来られたときのYさんはのっぺらぼうみたいに表情の硬い人だった。
何を考えているのかわからなくて怖かった。
故郷を離れ、友達ひとりいない土地へ引き取られた直後のことで、不安だったのだろう。

ところが今や『ここが私の席』と言う。
このデイがYさんの居場所となり、帰る場所のひとつになっている証拠だ。

本日のおやつはフルーツパフェ♪このあとチョコレートソースをかけます♪

ウチは吹けば飛ぶような、小さな小さなデイである。
赤字続きのデイである。
いくらNPOだといったって、赤字続きでは身が持たない。
このご時世は、正直、かなりツラい。
それでもなんとか踏ん張って、利用者さんたちの「私の席」を守っていきたいと思う。

コメント

  1. 早く私の席に座りたかったと退院して戻ってこられた利用者さんも、「おかえり」と笑顔で迎えた利用者さんたち、居場所を守っていきたいと思ってくれるスタッフの皆さん…優しさにあふれてとっても素敵です!
    私も将来そんなデイサービスに行きたいです。
    今日もだださんのブログに癒されました
    ありがとうございます^_^

    • こちらこそ、読んでいただいてありがとうございます。
      デイの職員はどこでも優しいですよー!仕事だから(笑)
      研修で出会った介護士仲間と
      「なんでこんなに利用者さんがみんな愛しくなるんだろう」
      って話してました。
      きっと本能です。