毎日、暑い。おそろしく暑い。
 ガンガン冷房をつけて、両親にはやいやい言って水分補給もさせて。
 自分は汗だくになりながら家事をして・・・はっと気がついた。
 「あれ? 猫たちは?」
サンジとシシィの姿が見えない。
 猫だから昼間はずっと寝ているのだが、寝てい場所が問題だ。
 今日の最高気温は37℃予想。
 室内だって息苦しいほど蒸し暑い。
 いくら猫でも冷房がなければ熱中症になるんじゃないだろうか?
心配になって探してみたら、これがまあ・・・見つからない。
 猫って、かくれんぼが得意なんだ。
 いつも寝ている母のベッド、居間のソファ、オヤジのベッドの下にもいない。
 べつの部屋も探してみよう。
 洋間のソファも、納戸の中も、私の部屋も。
 どこにもいない。
 どこいった!?
「サンジ! シシィ!おいで!」
 名前を呼んでも来るわけない。
 寝ている猫はぜんぶを無視する。
 「サンジ! シシィ! おいで、ごはんだよ!」
 「にゃー」
 シシィが出てきた。
 ごはんに釣られた。
 約束どおりごはんをあげて、
 「サンジはどこへ行ったの?」
 と聞いてみたがシシィは教えてくれなかった。
そうこうするうちに3時になった。
 1日でいちばん暑い時間!
 それでもサンジは現れない。
もしも2階で寝ていたら?
 もしも外に出ちゃっていたら?
 ・・・想像してぞっとした。
 サンジは腎臓が悪いのだ。
 熱中症で脱水おこして死んじゃったらどうしよう。
 今、見つけてあげられなかったら・・・もしかしたら。
「サンジ、どこにいるの?」
 「サーンジー!」
 必死で探した。探しまわった。
 母も声を張り上げた。
 それでも見つからない。
6時になった。
 日が暮れてきた。
 私はシシィを抱き上げて
 「サンジはどこにいるの? あんたほんとに知らないの?」
 もう一回、きいてみた。頼んでみた。
 「ねえ、お願いだから教えてよ。いい子だから!」
 シシィを抱っこして、なでなでしながら話しかけた。
 ・・・そしたら。
 「ぼくもーーー!」
 聞き慣れた声が抱っこをせがんだ。
 「ぼくも抱っこしてー! なでなでしてー!」
 当のサンジが私の足元からにゅーっと現れた!
 ソファの下に隠れていのだ。
 ・・・ここ、さっき見たはずなのになあ。
「いたよー!」
 サンジを抱きかかえて母のところに連れていく。
 「いたのか、よかったぁ」
 「無事でよかったねえ」
 みんなでサンジを撫で回していたら、
 「なによ、みんなでサンジ、サンジって。あたしは? あたしは?」
 シシィさんがものすごく拗ねてしまった。
 猫って難しい。



