遺す

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人間はいろいろだ。
人生はいろいろだ。
利用者さんに昔話を伺ったら、
「私は過去を振り返ったりしない。人生はケ・セラ・セラ!」
と陽気に笑う人がいるけど、やっぱりそうは言えない人もいる。
思い出に浸ると現在の痛みを忘れられる、という人も多い。

Wさんもそうだった。
この正月を一緒に過ごしたWさん。
痛くて苦しくて寂しくて、痛み止めが効いてくるまでずっと泣いていた。
つらさを紛らわせるために昔話をしてもらった。
楽しいような話じゃなかったが、話しの間、Wさんの意識は娘時代に飛び、つらい寂しいという言葉は出てこなかった。
ほどなく亡くなったWさんの話を、私は文章にのこした。
若い世代に伝えます、インターネットで大勢の人に読んでもらいます、と約束したから。
「まあ、そんなたいした話じゃないのに」
と照れくさそうに笑っていたっけ。

猫の話も盛り上がった

文章にすることで、この世にはもういない人の声を遺す。
その人の微笑みを、優しさを、思い出を遺す。
完全に自己満足だけど、これが私の悼み方であり、偲び方だ。
さわやか今昔ものがたり「敗戦の天津」
よかったら読んでください。

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