母の左手さん

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朝。
起こしに行ったら、母は、布団の中で自分の左手をぎゅうぎゅう握っていた。
ぎゅうぎゅうと。
右手で左手を引っ張っている。
もしかして痛むんだろうか?

心配になって「何してるの?」と尋ねたら、
「引っ張りあいっこしてるの、ふふふ!」
陽気な答えがかえってきた。
「ふふふ、これは誰の手かなあー?」
・・・アンタの手やで。
布団をはいだら
「わっ、ほんとだ!私の手だった!」
普通に驚いていた。
寝ぼけていたというよりは、半身麻痺のせいだろう。
左手の感覚がぜんぜんないのだ。

母はかつて「他人の手徴候」をもってたことがある。
まったく動かない左手を末娘だと思いこんでいた。
妄想が解けたあとも
「可哀想な左手さん」
と呼んで
「こら、左手さん、ちょっとくらい働け!」
と叱咤したり
「左手さんだって頑張ってるんだもんねえ」
と慰めたりしている。

母の左手さん。
8年前まではバイオリンをしっかりと支えていた左手さん。
重い障害のある娘を抱っこでお風呂に入れていた左手さん。
子供の頃、一緒に買い物にいったら迷子にならないよう手をつないでくれた左手さん。
今はことあるごとに邪魔者あつかいされている。

本日の猫写真。

誰よりも先にファンヒーターのぬくもりを確認しているサンジ君

シーズンの最初にファンヒーターをつけるとき、いつも緊張する。
つくかな? 壊れてないかな?って。
・・・カチカチカチカチ・・・ボワッ!(点火の音)

音を聞きつけ、サンジが爆速ダッシュでとんで来た。
台所でごはんを食べていたのにほっぽりだして、
「ヒーターついた!ヒーターついたああああああ!」
もう、ヒーターを抱きしめんばかりの喜びよう。
喜んでもらえて嬉しいよ。
すぐ消したけどな。

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