2人バイオリン・デュオ

先日、「プロの2人ヴァイオリンが本当にすごい」という記事を書いた。母と同じく左麻痺になったバイオリニストがいらっしゃって、私と同じように奥様と２人で１台のバイオリンを弾いておられるのだけど、我が家の２人バイオリンとは段違いに巧くてほんとに素晴らしい！というお話。

いきなりですが、その方に、今日、お会いしてきた。

仮名で、Ｆさんご夫妻、としておこう。我が家から車で1時間のご自宅にお邪魔させて頂いた。生粋のバイオリニストのお家だから我が家とはぜんぜん違って上品で、でも気さくで、とっても素敵なご夫婦だった。

4時間ちかくも長居しちゃったのだけど、その間、私と奥様とでひたすらしゃべり倒してた！ わかっていただけると思うけど、介護者どうしのおしゃべりって弾みまくるのですよ。しかも『同じ時期に同じ病気で倒れ、そっくりな障害をもつ家族の介護をする人』なんて、なかなか出会えない！ 半側空間無視のこととか、リハビリ方法とか、いっぱいお話しした。
「そうそう！」
「そうだよね！」
でまだまだ何時間もイケそうだった…めっちゃ楽しかった…本人たちはかなり置いてきぼりでごめんなさいでした。

危うくお喋りだけで終わっちゃうところを
「あっバイオリン、バイオリン！」
てな具合で思い出し。私たちもバイオリンを持ってきていたので、バイオリンの持ち方とか、どうやって支えたらいいかとか、いろいろアドバイスを頂いてきました。で、これがまた楽しくて！ だって
「ポジション移動がめっちゃっ難しい」
「どの弦で弾くかケンカする」
「４の指はキツイ！指がつる！」
なんて２人バイオリンの苦労を分かち合える人は、Ｆさんの奥さんしかいらっしゃらないわけですよ。
「そうそう！」
「わかるー！」
でまた数時間しゃべれちゃいそうな勢いだったけどさすがに自制。

で！
でね！
最後に、2組の2人バイオリンで合奏をしたのです！ 『2人バイオリン・デュオ』ですよ！ やったー！

私が
「すごく簡単な曲しか弾けないです」
と言ったため、奥様が子供向けの簡単な楽譜を貸してくださり、その中から選んだ曲は『ユダス・マカベウスの合唱』だった。表彰式の曲、といえば分かりやすいだろうか。♪ターン、タータ・ターター♪

2台のバイオリンを4人で弾く、表彰式の音楽。それはなんだか、ちょっと感動的だった。象徴的な気がした。Ｆさん夫妻も私たちも、がんばってがんばってリハビリをしてきた。2組の2人バイオリンは、同じ道を違う方向から歩いてきて、ついに今日、巡り会ったのだ。
「おめでとう。ここからだね」
とユダス・マカベウスが祝ってくれているような、そんな音楽に聞こえたのだ（ユダス・マカベウスって何かは知らないけど）。

これからいっぱい練習をしようね、と母と言いながら帰宅した。Ｆさんのようには弾けなくても、いっぱい練習をして、ビバルディがもうちょっときれいに弾けるようになったら、皆さまにも聞いていただけるかもしれない。

（帰り道。日曜の夕方は混むわー）

本日の猫写真。
水耕栽培の豆苗をかじるサンジ。

それ猫草じゃないのよ？
ラーメンに入れようと思って育ててたのに…。