サンジの急変

猫のサンジが急にゴハンを食べなくなった。
昨日の朝まで普通だったのに。
普通に食べて水をのんで、走りまわっていたのに。

昨日の夜、帰宅するといつも
「ゴハン！」
とせがんでくるはずのサンジの姿がなかった。
探すと２階で寝ていた。
お皿まで連れていってもほとんど食べない。

サンジは腎臓病を患っている。
３年前にものすごく悪くなって、このまま死んじゃうんじゃないかというところまできて、奇跡的に持ち直し、今に至る。
獣医さんに
「服薬だけでこんなに元気な状態が続くなんて、ものすごくラッキーです」
と言われているから、逆にいえば、いつどうなっても不思議じゃない状態ではあるのだ。

今まで頑張って頑張って、取り繕っていた「元気」が綻びてきたのだと、すぐにわかった。

サンジは朝になってもゴハンを食べなかったが、それでも大好物のカスタードクリームを作ったら、大さじ一杯くらいは食べてくれた。
水も飲んだ。
おしっこも出た。

仕事が終わってすぐ動物病院に連れていった。
久しぶりの病院でサンジは大暴れをした。
噛んだりひっかいたり、ウーウー唸ったりもがいたり、しまいにはオシッコを大放出した。
穏やかなサンジがまるで別の猫みたいになってた。
「体がつらくて、いつもより過敏になっているのでしょう」
と先生は言った。

検査の結果は最悪だった。
・・・うん、まあ、覚悟はしてたから。
とりあえず点滴だけしてもらって帰ってきた。

帰宅後、興奮状態でキャットタワーにのぼっちゃったサンジ君。寝てなさい

サンジが興奮状態で帰宅したので、シシィはびっくりし仰天。
「兄ちゃん、兄ちゃん！ どうしたの！？」
と駆けよってきた。
思わずシシィを引き剥がしたら、
「あのね、あたしそんなに馬鹿じゃないよ。兄ちゃんの具合が悪いのくらい、知ってるよ！」
とでも言うようにミャーミャー鳴いて抗議した。

シシィは言葉どおり、サンジが落ち着くまで別の部屋にいた。
そんなの初めてのことだ。
いつもならサンジを追いかけ回してうるさがられているのに、まるで
「今はそっとしておこう」
とでも言うように別室へうつり、サンジが少し落ち着いてからリビングに戻ってきた。
今もちょっと離れたところから大好きなサンジを見守っている。
びっくりするほどお利口さんである。

早く元気になれ、サンジ。
明日はいっぱいゴハンを食べられますように…。