「川越で特別養護老人ホームが沈んでいる」
とニュース映像で見たとき、泣きそうになった。平屋に見える施設は屋根まで水に浸かっていたので、悲劇的な結末を思い浮かべてしまったからだ。だがそのあと
「入居者は全員、避難して無事」
と知ってまた泣きそうになった。それがどんなにすごいことか想像できたからだ。
200人以上の高齢者、しかも特養だから寝たきりの人も多いだろうし、手厚いケアが必要な人ばかり。全員の避難はどんなに大変だっただろう。全員が命に別状なしって本当にすごい。介護士として尊敬する。本当に本当にお疲れ様でした。救助された皆さんが一刻も早く落ち着いたところでケアを受けられますように。そして被災したすべての方々が一秒でも早く元の生活に戻れますように。
以前、旅先できかれたことがある。
「どうして日本人は国旗を身につけないの? 日本人は愛国精神がないの?」
英語が苦手なこともあり、返答に困っていると、横から別の旅人が答えてくれた。
「違うよ。僕はしばらく日本に住んでたから知ってるけど、日本人はとても愛国的だ。ただそれを表に出さないだけで」
日本人がおおっぴらに日の丸を振ったり国歌を歌ったりするのは、式典などをのぞけば、せいぜいスポーツ観戦の時だけだ。ラグビーW杯、スコットランド戦が始まる前に流れる『君が代』を聞きながら、そんなことを考えた。・・・普段は抑えているからこそ、その瞬間だけは一層、思いが深まるのかもしれないと。
「日本、頑張れ。日本、頑張れ」
台風によってぼろぼろにされた今だからこそ、日本よ勝ってくれと。強い強い敵に全力で立ち向かってくれと。
今夜のラグビーほんまにすごかった! おめでとう!