なかなか斬新なCMを見た。
介護事業所の宣伝だ。
CMは、ひとりの女性が義母であろう高齢者の介護をしている場面から始まる。
起床、食事介助、シーツ交換。
更衣させようとしたら拒否されて
「すぐに終わりますからねー」
優しくなだめる彼女。(実の娘なら多分「じっとして」しか言わない場面だからお嫁さんに違いないと思う)
彼女の介護疲れは暗い後ろ姿で表現される。
ある日、彼女は買い物帰りに施設の前を通りかかった。
利用者さんの誕生パーティをやっている。
花が咲き、立派なケーキが贈られて、笑顔いっぱいの和やかな雰囲気。
・・・いいなあ。
羨望のまなざしで見つめる彼女。
ここでテロップとナレーションが入る。
「今だからできる、親孝行を」。
「1週間、無料で体験入居できます」。
お、おう。
入居が親孝行だというのか!?
・・・アリだな!
お嫁さんが「入居が親孝行」だなんて言い出したら、親族と揉めて大変なことになりそうだけれども。
現実的にはアリだと思うんだ。いや申し訳ないけど、CMの施設が素敵だからという意味じゃなくて。
家にいれば必ず幸せになれる、って保証はないからだ。
プロヘルパーのごとき愛想笑いをうかべて頑張る彼女でも、疲れが溜まれば鬼になるかもしれない。殴り返すようになるかもしれない。それとも力尽きて精神を病み、介護放棄とかしちゃうかもしれない。すべての介護家庭にその可能性がある。
私が実際にお会いした利用者さんで、ご夫婦ともに認知症になり、生活が荒れて娘さんが大変な思いで介護をしていたが、サ高住に入居することで、穏やかで人間らしい暮らしを取り戻したご家族がいる。
なにかが起こってしまう前に離れることを考えるのは、結果的には親孝行なのだ。もちろん一概には言えないけれど、そういう場合だって多々あるのだ。
「施設に入れるなんて酷い」
じゃなくて
「親孝行だ」
と思えるような施設が増えればいいなと思うし、そういう社会になればいいと願う。
コメント
いつも読ませてもらっています。
了解です🎵がんばらせていただきま~す。ただいま、サ高住が職場でごさいます…😅
ありがとうございます。
サ高住の職員さんでいらっしゃるのですね。
いろいろ大変なことも多いと思いますが、頑張ってください!
私もホントそう思います!
仕事で介護に携わっていたときは、
施設に入れるなんて…と思っていましたが、
母の在宅介護が始まり、正直すごく
しんどい時がありますし、
自由に出掛けられない、友人に会えない、とかでイライラが止まらない事も。
そんな時、母に優しい言葉をかけられない自分にもイライラします。
将来、施設入居を考えていますが、
周囲は施設なんてダメ、と言われることが多いですね。
けっこうツラいです。
でも自分の人生、体調を第一に考えたいので、何と言われようとどうしようもなくなった時は、施設に入ってもらおうと思っています。
ようこさん、こんにちは。
毎日お疲れさまです。
>仕事で介護に携わっていたときは、施設に入れるなんて…と思っていましたが、
・・・そういうものなんですね。
たとえ介護職であっても、家族を介護したことがある人とない人の間には温度差があります。
家族だからこそしんどいし、家族だからこそイライラしちゃうんですよね。
私も実際に妹を施設に入れたときはいろいろ言われました。
愛あればこそ言ってくる人もいるのでつらいんですよね。
>でも自分の人生、体調を第一に考えたいので、何と言われようと
そうです、そうです、そのとおり!
子供を犠牲にしたいと思う親はいません。
健やかで幸せになることが親孝行だと、お母様も思っておられるはずですよね。