明日、母は車椅子で冒険する

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母は左足に装具をつけている。脳出血の後遺症で左足がほとんど動かないからだ。フニャフニャと力の入らないで足も、装具に支えられれば、なんとかちょびっとだけ立つことができる。この装具をつくったのはリハビリ病院に入院しているとき。もう5年半も前のことだ。はっきりいってボロボロである。さすがに作り直さなければと思った。

とはいえ今はリハビリにも整形にも通っていないから、どこで作ってもらうべきかわからない。そう相談したところ、病院系列のデイサービスが
「うちの病院で作れますよ」
と言って下さった。
病院に仲介をしてもらって、予約もとってもらった。ありがたい。

だが問題は!
私が一緒に病院へ行けないことだ。
「装具屋さんがくるのは火曜と木曜なのでその日に来て下さい」
と言われても、そうそう仕事は休めない。ヘルパーさんを頼むという手もあるけど待ち時間が自費になったりしてややこしい。どうしようかなあと悩んでいたら、なんと
「お母様お一人でも大丈夫ですよ」
と言ってくださった。
「病院の車で送迎しますから」
ええええーー!
母一人で!?
母一人で行っちゃうの!?

・・・行っちゃうことになった。
ちょっと心配だけど、母は歩けないから、道に迷ったりしない。その点だけは心配ない。

明日はデイの日なので、病院の車にデイまで迎えにきてもらう。運転手さんに病院の中まで連れていってもらえる。そうすれば看護師さんか装具屋さんが迎えてくれるはずだ。

母が自分ですることは、受付で自分の名前を言うだけ。あと、診察券とかお財布を出すくらいだろう。終わったら、また車に乗せてもらって、家に連れて帰ってもらえる。パットも夜用の一番大きいのをつけて行くから、大丈夫だよ。何も心配ない。

そうは言っても

「どうしよう。不安で眠れないかも」

と母は呟いております。
そりゃそうだろうなあ。
馴染みのない病院だし、母はどこへ行くのも私と一緒だったから。介護者なしで出かけるなんて、不安で怖いことだろうと思う。自分の力では車椅子を動かすどころか、ティッシュを探すことだって難しいのだから。

何の悩みもなさそうに眠るサンジ君とシシィさんのお尻

頑張れ!
明日は、冒険だ。
母の一人旅記念日だ。

きっと明日の夜には「大冒険してきたよ」って、自慢していることだろう。またそれをブログに書くだろう。
健闘を祈る!

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