寂しくて寂しくて

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仕事が終わり帰宅すると、猫たちが猛烈な勢いで走ってきた。
「ウニャー!」
「にゃんにゃにゃんにゃーーー!」
サンジもシシィも声をあげての熱烈歓迎だ。とくにシシィは私の肩までよじ登り、両腕でしがみついて甘えてきた。犬のように私の鼻をぺろぺろなめた。

理由はわかっている。寂しかったのだ。不安だったのだ。姪っ子たち・・・猫たちの大親友である子供たちが、突然いなくなってしまったから。ようやく帰ってきた私に
「よかった!あんたまでいなくなったのかと思った」
と訴えているのだ。
「しばらく待てばまた会えるよ」
と言ってきかせても、猫たちにはわからない。親友を失った寂しさのあまり、サンジは便秘がひどくなり、シシィは食欲が落ちている。

ちょっとくらい寂しくても、人間であれば、外出したり友達と話したりして気を紛らすことができる。だが猫にはそれができない。家の中だけが世界のすべてだ。

家の中にはまだ子供たちの気配が漂っている。食べ残したラムネ、忘れていったヘアピン、置いていった小さなおもちゃ・・・。猫たちは、細かな物に残る子供たちの匂いをかぐたびに、寂しい気持ちになってしまうんだろうと思う。

早く部屋を綺麗にそうじして、それから、何か新しいおもちゃでも買ってあげなくちゃね。

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