敬老の日だけど何もしなかった

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隙きあらばデイサービスをサボろうとする母が、珍しくご機嫌で帰宅した。
「今日はとっても楽しかったの! 幼稚園の子たちが遊びにきて歌ってくれるし、お昼ごはんにはお赤飯がでるし、目の前で天ぷらを揚げてもらったのよ。今日はデイを休まなくてよかったー!」
そっか。
今日は敬老の日でイベントがあったのか。

敬老の日なあ…。
まわりを見れば、親をつれて食事にいったとかプレゼントしたとかいう話も聞くけど、私はなんにもしなかった。
だって、毎日、朝から晩まで、家でも職場でもずーっと敬老やってるもん。
ずーっと敬ってる。
ちょっと疲れるくらい敬ってる。
これ以上はかんべんしてください。

このあいだ、足の傷を手当をしているとき、母がコントみたいな台詞を吐いた。
「ごめんねえ、こんなことまでさせて」
・・・それは言いっこなしでしょお母ちゃん!
ふざけて返そうとしたが母は至って真面目である。
「あんたにはどうやってお返しをすればいいか、わからないよ」
えーと。
それほどのことはしていませんが?
母がとっても真面目なので私も真面目に答えることにした。
・・・生んでくれたよ。
私を生んで育ててくれたよ。
それで十分。ほかに理由はない。

誰かが言ってた。
「介護は子育ての通知表」
なんだって。
良くも悪くも、きっとそういうこと。

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