デイサービスでグリム童話の『ブレーメンの音楽隊』を読んだ。グリム童話なんて久しぶりに読んだのだが…
こんなにも現代に通じる話だとは知らず、すごくびっくりした!
そもそも『ブレーメンの音楽隊』とは・・・。
年をとって働けなくなったロバが、飼い主から
「ごくつぶしめ、肉屋に売り払うぞ!」
といわれて逃げ出すところから物語は始まる。
登場するのは年老いた動物たちばかりだ。
力のなくなったロバ、息切れのする犬、寒がりやの猫…
長年、人間のために働いてきたのに、年をとって働けなくなったら邪魔者あつかいされてしまう。
つまりこれは高齢者の話なのである。
動物に例えられてはいるが、仕事をなくした高齢者が生きる場所を失った、という話なのだ。
これって現代にもありそうじゃない?
仕事ができなくなった動物たちは、それでも生きることをあきらめたわけじゃなかった。
「俺はギターがひける」
「ぼくはタイコが叩ける」
「あたしはバイオリンが弾ける」
「ワシは歌が歌える!」
「じゃあ、みんなでブレーメンへ行って、音楽隊をつくろう!」
と夢をもって旅をする。
高齢になっても、自分の残存能力をいかし、第二の人生を楽しもうとする。
すごい教訓的な話じゃない?
やがて彼らは泥棒たちのアジトとなっている家を見つける。
窓からは、ずらりとごちそうが並んだテーブルが見える。
ロバ・犬・猫・オンドリは協力しあって泥棒を驚かせ、追い払う。
えーとこれは、高齢者も力を寄せ合えばまだまだ世の中の役に立てる、ということだろうか?
「家はとてもいごこちがよく、食べるものもお金もたっぷりありました。
4匹はこの家で幸せに暮らしましたとさ。
おしまい」
・・・えっ? おしまい?
ずっとこの家で暮らす?
いや、ブレーメンに行けや!
泥棒からまきあげたお金があれば旅費になるやん。デビュー資金にもなるやん。自由の都ブレーメンで音楽隊をやることが夢だったんとちゃうの?
つまり、この話は・・・
人間は、困難な状況にあればあるほど夢をもち、ハングリー精神をだして踏ん張るものだが、一度あぶく銭を得て安楽な暮らしを覚えてしまうと、夢を忘れ堕落してしまう。
とか言いたいわけか?
・・・いや、まあ、高齢者の話ですから。
みんなで泥棒をやっつけた時点でくたびれちゃったんだろう。
理想の都ブレーメンじゃなくても、いごこちのいい家があればいい。
プロにならなくても趣味で音楽をやればいい。
人間関係を大事にしながら、頑張りすぎず、楽しい人生をおくりましょう、ってことかなあ。
それにしても、ブレーメンにたどり着けなかったのに、なんでタイトルは『ブレーメンの音楽隊』なのだろうか?
本日の猫写真。
何かを狙ってるサンジ君。…何かは、知らんけど。