人間の額縁

いつもオシャレなAさん（84才）が鏡に向かっていたので「今日もお綺麗ですね」ってほめたら
「こんなのは額縁よ」
とかえってきた。

額縁？

「人間を一枚の絵に例えるとね、顔だの髪だの服だのは、絵を入れておく額縁なの。本当はたいして重要じゃないし価値もない。肝心なのはどんな絵かっていうことでしょう？」

ふ、深い！
さすが人生の大先輩！

「でもね、中身の絵が貧相なものだから、自分でそれがわかってるから、せめて額縁だけでも立派にしましょうってみんな頑張るのよ」

そう言ってAさんは鏡に向かい、口紅を赤々と塗りはじめた。

私は一瞬ぽかんとしていた。
それからハッとして
「いやいやいや、Aさんは額縁だけじゃなくて中身も素敵ですよ！！！」
とか言ってみたけど、Aさんはそんな私を見て
「フフフ」
と笑っている。

自分の倍の長さを生きてきた人たちには、ほんと、ぜったいに勝てない。

本日の猫写真。

ヒーターの上でお尻を寄せ合うふたり。２分後、サンジは突き落とされる…