残り10日間の幸せ

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朝からウォーキング散歩に行ってきた。

時刻は6時すぎ、爽やかな朝だ。
公園の芝生には露が光り、小鳥がさえずり、死にかけの蝉がうごめき、そしてバス停には虚ろな目をしたサラリーマンが列をつくっている…。

つらつらと歩いて30分ほどで帰ってきた。
歩くだけってやっぱり退屈やな。

仕事がない日だったので、母とゆっくり一日を過ごした。
ゆっくり。
ゆっくり。
ゆっくり・・・なんて、していられない!

バイオリン練習するで!
ビバルディ弾くで!
本番まであと10日しかないんだから!

だが、
「えええ・・・バイオリンかあ・・・」
今日は母がヤル気をなくしていた。眠たいのか、姿勢がわるくてちゃんと座っていられないほどだ。楽譜も読み間違えてばかりいる。

これでは練習にならないので、一度買い物に連れ出して気分転換をはかった。そのあとでもう一度、譜面台の前に座らせたら、こんどは背筋がシャンと伸びた。
「本番で間違ったら指揮者の先生に怒られるもんね!」
そうそう、ちゃんと弾かないとね。

本当はちょっと心配していた。
私たちの2人バイオリンはなかなか上達しないのに、他のメンバー(子供たち)はすっかり上手になってしまったから。置いてけぼりをくわされた母は、子供たちより弾けない自分を悲しく思っているんじゃないかって。だからちょっと嫌になっているのかもしれないって。

でも、そんなことなかった。母は一生懸命にバイオリンを弾いた。最後の曲以外、ほとんど間違わずに弾けたのだ。そして
「バイオリンを弾くことは幸せ」
と呟いた。

泣いても笑ってもあと10日。8ヶ月間、うんざりするほど弾き続けたビバルディともあと10日でお別れだ! 音符ひとつひとつを拾うようにして読みながらここまで来た。子猫が弾むようなアレグロも、転がるようなスケールも、難しいポジション移動も、あと10日で終わるんだ。残り10日間の幸せなんだ。
「そう思うと寂しいね」
そうでしょう?
だから練習しよう。あと10日、なるべくたくさん練習しよう。指揮者の先生に怒られるからじゃなくて、愛着の湧いてきたこの曲のために、美しい音楽のために、自分たちのために、思い出のために。
明日もきっと練習をしよう。

本日の猫写真。

ちょっぴりセクシーポーズのシシィさん。お腹おおきくなったね…。

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