大好きだから

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高齢のおばあちゃんが、歯のない口でこんな話をしてくれた。

「うちの娘がよう面倒みてくれますねん。一緒に住んでくれて、いろいろ良くしてくれて、ありがたい思いますねん。ほいでも、娘に迷惑かけてしもうて。私のために仕事もやめてしもうて・・・長いこと続けてきた仕事やったのに・・・」

おばあちゃんはは最後まで言えなかったけど、泣きそうな顔を見れば言葉など必要なかった。ごめんなさい、って。大事な娘の人生に負担をかけて申し訳ないって。長生きしてごめんなさいって。

おばあちゃんの表情に、私は泣きたくなってしまった。おばあちゃんを抱きしめてあげたくなったけど、抱きしめたら壊れてしまいそうだったから、両の掌をにぎって言った。

大丈夫! 私も同じだから娘さんの気持ちは良く分かる、顔をみれば分かるんです。娘さんはお母さんのことが大好きなの。大好きだから一緒にいて、一緒に暮らしたいの。それだけなの。好きな人とずーっと一緒にいたいのは、自然なことでしょう?だから今、娘さんはとっても幸せなはず。・・・でないとあんな顔してませんよ。

「でも、うんちとか汚いもんさせてしもうて、わるい思うて」

悪いもんですか! 小さい頃さんざんオムツをかえたりごはんを食べさせてもらったのだから、今度は娘さんがする番なの。順番に、順繰りに、それはとっても当たり前のこと。

超高齢化社会の今、きっとこのおばあちゃんと同じ思いを抱いている人たちが日本にはいっぱい、いっぱいいるのだろう。たぶんきっと、うちの母も。

おばあちゃんは、いつも「ありがとうなあ、ありがとうなあ」って言ってる人だ。私にも「ありがとうなあ」って言ってくれたから、こちらこそありがとうございます、って返した。生んでくれてありがとう。介護させてくれてありがとう。長生きしてくれてありがとう。オムツをしているすべてのお母さんたちにありがとう。もっともっと長生きしてください。

本日の猫写真。
テレビの上から家族を見下ろすサンジ君。

CMで、猫が
『私キハチと申しまして、この家の家族です』
という台詞があるが、それを聞いた母が
「サンジは違うよね。この家の家族なんかじゃないよね!」
なんて言う。私はびっくりして訊いた。
・・・なんで家族じゃないの?
「だってサンジは、家族じゃなくて、この家の主だもんね!」
・・・ヌシというほどの貫禄はまだないなあ。せいぜい王子様かなあ。