「イオンのエスカレーター前にベンチがあるでしょ? 休憩スペースみたいな所。そこにいつも座ってるおじさんがいるのよ」
と同僚が言った。
「70代後半か80才くらいかなあ。朝通りかかったとき、ぼーっと座ってるのが見えて、夕方もう一度通ったら、朝とまったく同じ姿勢で座ってたの。あのひと何してるんだろう?」
「何もしてないのよ」
上司がためいきをついた。
「何もすることがないから、ぼーっと座ってるの」
仕事一筋に生きて、退職したらやることが何もない。そんなおじさんが居場所を求めてただぼんやりとベンチに座っている。若い頃はやりたいことがたくさんあったが、今は趣味にかけるお金も体力もない。介護サービスはまだ必要ないし、重い病気があるわけではないが、何をするのも億劫だ。家に居れば邪魔だといわれるから外へ出てきたものの、やることが思いつかないので、ぼーっと座って一日が過ぎるのを待っている。
そんな哀愁と退屈をお持て余したおじさんは、いたる所で目にすることができる。スーパーのフードコート。公園のベンチ。市民会館。図書館。市役所。「同じところにぼーっと座ってるおじさん」は日本中でいったい何万人いるのだろう?
同僚はこうつづける。
「横並びのベンチにね、似たようなおじさんが等間隔で座ってるのよ。ぽつん、ぽつん、ぽつん、って。それでみんなぼーっとしてる。ずっと無言なの。不思議だったわー。なんで話さないのかしら? だって、もしこれがおばさんだったら、絶対におしゃべりが始まってるでしょ」
そうだ。
これが女性だったら…
おばちゃんA: 今日も来たんかいな。あんたもヒマやな
おばちゃんB: お互い様やがな
おばちゃんA: せやかて何もすることあらへんしなあ
おばちゃんB: ヒマやなあ。飴ちゃんでもなめとこか。一個あげるわ
おばちゃんC: スーパーでコーヒーの試飲やってるで。わりと美味しかった
おばちゃんAB: ほな、そこいこかー!
わいわい言って、なんやかんやと面倒を見合っているだろう。同じところにずっと座っているおじさんたちも、もうちょっとコミュニケーションとったらいいのになあ。友達ができたら、退屈も寂しさも、やわらぐはずなのに・・・。
いや、外でぼーっとできるうちはまだ良い。「外に出てもやっぱり退屈だから」と家にこもるようになり、生活不活発病になって要介護まで転がりおちるケースもあるのかもしれない。ちなみに、一人暮らし高齢者は女性のほうが圧倒的に多いのに、孤独死の7割は男性だという。
本日の猫写真。
睨みを利かせるサンジ君。
サンジはもうじき10歳になります。
コメント
男性に
1人で出来る趣味が無い場合が多いですね
我が家の家人もゴルフや船釣りやと誘われて行く趣味だけで、完全退職したら誘われる事も無くなるだろうし
1人で出来る趣味を見つけなさいと言っても聞かないですね
本人の為なのですが、私ならお金あれば大学に行きたい、ギターも弾きたい、violinも弾きたい、書道も再開したい等沢山あって1人ででも出来ますが
男性って孤独を愛するのか?集団行動が好きなのか分からなくなります。
定年までに一生楽しめる趣味を探すべきですよね
こんにちは。
言われてみれば男性には、編み物のように一人でできる趣味って案外すくないのですね。
ガーデニングや畑は比較的男性が多いような気がします。
何にせよ趣味ってお金がかかりますね…あとそれなりの体力も…。
スーパーなどでもよく見ますが、
去年の秋から居るんですよ!
うちのマンションの前の親水公園のベンチに。
うちのマンションの方を向いて常に見ているの。
前を通る人、マンションに出入りする人・・・
気持ちのいいものではないですよね~、洗濯物干していて目が合ったこともあるし。
巡回中のおまわりさんに話しかけられたリ、マンションのおじさんに何か聞かれたりししていることもあるのですが、特別何かしているわけでもないのでね。困ったもんです。
昼過ぎに自転車でやってきて、5時頃帰ります。真冬の寒いときや雨の日、強風の時は欠勤w
身綺麗にしているから奥さん居るのか、綺麗好きなのか・・・
しかし、なんでうちのマンション見物にはまったのかしらね。
うーん、お巡りさんも声をかけるくらいの存在なのですか。
ずっと見られているのは、たしかに嫌ですね。
お子さんとかがいるととくに。
何か理由があるのでしょうか。
奥さんがいても、家に居場所がなかったりするのでしょうねえ。
気になります…