エアコンをつける幽霊？

バイオリンの練習を休んだ。大事な全体練習があったのだけど、今日はちょっと、もうダメだった。先週からの疲れがとれず、重力に負けてバイオリンを落とすかもしれないと感じたから。
「いいよ、しかたがないもんね」
と母は言ってくれた。それで今日は冷房をかけた部屋で静かに過ごすことができた。
ありがとう、おかあさん。
おかげでだいぶ楽になりました。

（足の裏を見せつけてくるシシィさん）

冷房といえば！
我が家では今、不思議なことが起きている。

絶対に消したはずの冷房が、いつのまにか再び動いている、ということが度々あるのだ。最初のうちは
「誰だよつけっぱなしにしたのは！」
「また消し忘れたのか！」
とか思ってたけど、どうもおかしい。絶対に消したのに、何度も確認したのに、それでも家に帰ったら冷房が生ぬるくついている。
「どうせ猫がリモコンを触ったのだろう」
と思われるかもしれないが、リモコンは棚に立てかけてあり、猫には触ることが不可能。しかも一度や二度ではないから偶然でもない（２、３日に１回くらい起こる）。

もしかしたら隣家のりモコンが干渉しているのかもしれない。一戸建てとはいえかなり接近しているから、隣の人がリモコンを使ったらうちのエアコンまで反応してしまうのだ。きっとそうだ。・・・そういうことにしておこう。

と、思ってたんだけど！
気づいてしまった。
この現象は、誰かが家の中にいると起こらない。
家族全員が留守のときにかぎって起こるのだ。
どういうことだ？

「女の子がね、いるのよ」
母が教えてくれた。
「小さな女の子。その子がつけてるんじゃない？」

『小さい子供がいる』。
これは、母が脳出血から目覚めた直後からずっと続いている妄想だ。姿の見えない子供が病室を走り回っていると言っては看護師さんを怖がらせていたっけ。子供の妄想は今でもたまに現れるようで、今朝は
「女の子がね、アジャリ（猫）を探してるの。だからここにはいないよって教えてあげなくちゃ」
と言っていた。
アジャリ？ サンジじゃなくて？
「そう、アジャリとね、よく遊んでるのよ」
母によれば２年前に死んだアジャリもよく遊びにくるらしい。だから小さな女の子というのは、つまり・・・。

私は母に訴えた。
次にその子に会ったら、エアコンの正しい使い方を教えといてくれる？　暑いなら冷房つけてもいいけど、部屋の戸は必ず閉めなさいって。電気代がもったいないから！
「でもねえ、その子、物触ったりとかできないらしいの。ドアは無理じゃないかな」
ますますそれっぽいことを言う母。ふざけているのでも、空想を話しているのでもない。ただ大真面目に妄想を見ているのだ。それとも妄想っぽい『何か』を。

今のところ防止策が思いつかないので、せめて冷気を逃さないよう、出かける際は部屋の戸をしっかり閉めるようにしている。すると今度は、帰宅してドアを開けるときに
「もしも女の子がいたらどうしよう」
と妙なことを考えて怖くなってしまった。

まあ、多分、エアコンの故障やろけどな！