つい去年まで、うちのオヤジは料理のリの字もできなかった。台所に足を踏み入れるのはお酒に入れる氷を調達する時だけ、という人だった。
だけど今は毎週、晩御飯づくりに挑戦してくれている。最初のうちはなんでもかんでも焦がしてしまい、フライパンを2本もダメにした。カレーはブラックカレーになり、焼きそばは富山ブラックみたいな色だった。加減が分からないので、味醂を入れすぎてお菓子みたいな肉じゃがを作ったこともあった。
失敗するたびにオヤジは凹んでいた。
「ダメだ・・・失敗した・・・」
「今日も0点や・・・」
「またアカンかった・・・」
それでもあきらめることはなかった。ほぼ毎週一品ずつ作りつづけているうちに、私が教えなくてもレシピ本を見ながら作るようになってきたのだ。
「リベンジだ!」
と二度目に作った肉じゃがはすごく美味しかったし、カレーもちゃんと黄色くできた。牛丼も良い味だった。
先週は「黄金チャーハン」に挑戦。
ちゃんと美味しかったし、
「チャーハンだけじゃ物足りない」
とクレームをつけたらコロッケを買ってきてくれたよ!その上サラダまで!
「野菜もいるやろと思って」
栄養のこともちょっとだけ考えられるようになってきた!(自分では野菜まったく食べへんけどな!)
「『大さじ1』って何のこと?」
「包丁はどこにあるんや?」
から始まったにしては、すごい進歩ではないだろうか。
母と私で褒めまくってるんだけど、オヤジはいつもどおり浮かない顔。
「おいしくない、味が悪い・・・」
と自己評価がやけに低い。
「そんなことない美味しいよ!」
「チャーハンって難しいんだよ。これ上手にパラパラにできてるよ、すごいよ!」
一生懸命フォローしながらオヤジのレシピ本を見ると・・・
市販の『チャーハンの素』を使って味をつける、と書いてあった。そういえばこのあいだも『すきやきのタレ』で牛丼つくってたな。そういうレシピ本なのだ。
『チャーハンの素』を使っておきながら
「味が悪い」
と後悔するオヤジ。次はインスタントじゃなくて自分で味付けをしてもらおう。最初は失敗するかもしれないけど、きっとできるようになるよ。
がんばれ、オヤジ!
ありがとう、オヤジ!
本日の猫写真。
「庭に鳥さんが来てるの!」
・・・うん、隣の家の庭だからね。
コメント
順調なダンチュウ化進展に乾杯。
お若い頃に料理をせざるを得ない環境にいらしたなら、
ウィークリー・シェフ氏は、もっと頻繁シェフ氏に
おなりだったと思います。
よろしかったら、お伝えください。
包丁を握ったことがない方のン○○歳の手習いが、
短期間でここまで来たことに心を打たれて
いますと。
祖母が食べ物屋でしたから子供の頃に芋の皮むきを手伝っていたそうで、包丁だけは最初から上手だったんですよ。
味付けはまだできないみたいですが、できないなりに、インスタントを使ってでも作ってくれようと頑張ってくれているようです。
お言葉、父に伝えますね。